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越僑シリーズ:オーストリアに生きる1

2004/09/13 21:19 JST配信

---西欧への玄関オーストリア---

 19歳の時に欧州へ渡ったNam Dinh省出身のDucさんはオーストリアについてこう語る。"オーストリアは東欧と西欧の間に位置するということもあり、東欧在住のベトナム人が西欧へ向かう玄関口となっています。その中にはここから第3国へ行く者も、またこの小国オーストリアに定住する者もいるが一様に定住への道に困難はつき物です。"

 Ducさんがオーストリア行きを決意したのはチェコの首都プラハで木材加工について4年間学んだが将来について依然明るさが見えない時期だった。他のベトナム人とあわせて12人が1人120米ドルずつをHaiというオーストリアへの入国手配師に渡した。当日全員はプラハ市第9区に集合し、暗くなった深夜Haiの手配した車に乗りチェコとオーストリアの国境付近の森に到着した。ここでHaiは森を横切りオーストリアに入国するルートを指示し、車で先回りするHaiがオーストリア国内の森の向こう側で全員をピックアップするというものだった。

 Ducさんと他の11人は真っ暗闇でそこまでどのぐらい距離があるのかもわからないまま指示された方向にひたすら向かい、やっとのことでHaiの待つ森の向こう側に到着した。ここで車の荷台によじ登り横に次に車が止まる地点までじっとしていた。車が止まったところでHaiは"この道をずっと行きなさい、そうすればオーストリアの移住局の人が迎え来るから"と言い残しHaiはまたチェコへ引き返していった。

 それが手配師Haiと会った最後となった、この後聞いた話ではHaiは幾たびにも及ぶ違法入国幇助により当局に逮捕されたらしいと、Ducさんは思い出すように語った。入国後あちらこちらを行き来し、オーストリア政府の補助金に頼る生活が1年ほど続いたあと、Ducさんはあるレストランで皿洗いの仕事にありつけた。しかしそのころは労働許可書も無く違法労働をしていたが、入国したばかりの人々にはこうするしかすべがなかった。

 現在オーストリアには約5000人のベトナム人が生活しており、そのうち約半数が首都ウィーンに暮らしている。Ducさんと共に不法入国したほかの11人も来た当時はかなり苦労したが、工場で働く者、小さな食堂を開くもの、西洋人の女性と結婚する者など現在では一時的ながらも安定した生活を送っている。<続く>

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