ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

ハータイ省:「犬肉村」の光と影

2006/07/15 07:15 JST配信

 北部ハータイ省のカオハー村落は、犬肉で有名な村だ。食用犬を仕入れ、解体、販売するという「犬肉業」を代々続けている家族も多い。販売用や村民の食用も合わせると、この村で一日に消費される犬肉の量は平均でおよそ1~2トン、多い時は3~5トンにものぼり、他の地方からも多くの業者が犬肉の買い付けにやって来る。

 最近は犬肉の需要が増えたため、ベトナム国内の食用犬は高値で貴重になってきており、病気の犬ややせ細った犬が売られていることも多い。そのため、カオハー村で業者に食用犬を提供するトゥさんは、ラオス、カンボジア、タイから犬を輸入している。国内で飼育された犬よりも、海外の犬の方が安いうえに風味もあってより美味しいそうだ。

 トゥさんが海外から仕入れた犬のうち、1/3はカオハー村の犬肉業者に渡る。残りは別の業者らに売られ、ハノイや近隣の省の市場に並ぶ。トゥさんは、毎回10台ほどのトラックで犬を仕入れては売りさばき、かなりのお金を貯めることができた。裕福なカオハー村の家々の中でも一段と高くそびえる4階建ての豪邸は、トゥさんがこの商売だけで建てた「犬御殿」だ。

 しかし、犬肉の恩恵を被っているこの村にも暗い影の部分がある。大きな問題となっているのは、犬の解体作業などで発生する廃水や臭いによる生活環境の汚染だ。裕福とはいえ、インフラが整っていないこの村では、常に不快な臭いが立ちこめ、犬の毛や排泄物などで排水溝が詰まり、雨の日になると真っ黒い廃水があふれ出る。村民の間では、この環境汚染が原因と思われる様々な病気、特に呼吸器系や皮膚の病気が多く確認されている。

 また、犬肉を扱う仕事をする人々の間に深く根付く心理的な問題もある。殺生への抵抗からなのか、「(犬を殺す)この仕事をしていると必ず災難に遭う」とこの村の人々は口々に言う。本当のところは分からないが、実際この村では不幸な出来事が相次いでいる。犬肉を洗う大樽に落ちたり犬に噛まれて死亡した人もいれば、ある女性は、犬肉を売りに市場へ向かう途中、夫を交通事故で失った。さらに彼女は、犬肉商売で家庭が裕福になった結果、甘やかされて育った息子がドラッグにはまり、最近死んだのだと言う。

 現在ハータイ省では、犬肉業や他の業種に対してそれぞれ土地を割り当てる計画を検討している。そうすることで、業種ごと、そして住宅地と分離し、環境汚染問題の解決を図ろうというのだ。しかし、村のインフラ整備など、根本的な問題については解決の目処はたっていない。

[2006年7月9日 Cong An Nhan Dan紙 電子版].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
クアンチ省:故レ・ズアン書記長の記念館が完成 (6:34)

 北中部地方クアンチ省チエウフォン郡チエウタイン村で4月28日、南部解放・南北統一50周年(1975年4月30日~2025年4月30日)を記念して、故レ・ズアン書記長記念館の竣工式が開催された。  同省の重要革命史跡...

ホーチミン:空港新ターミナル行き電気バス路線を運行開始 (5:42)

 ホーチミン市交通公共事業局傘下の公共交通管理センターは4月28日、ホーチミン市1区サイゴンバスターミナル(ben xe buyt Sai Gon)とタンソンニャット国際空港を結ぶ「109番」の路線バスについて、このほど開業...

ベトジェットエア、5月5日限定で運賃55%割引キャンペーン (4:48)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は、5月5日(月)の午前0時から23時までの1日限定で、ベトナム国内線と国際線のエコクラス運賃が55%割引(税など含まず)

1975年4月30日、統一会堂でベトコンの旗を振った兵士の記憶 (4/27)

 1975年4月30日、特殊部隊の兵士だったファム・ズイ・ドー上尉(男性・75歳)は、南ベトナム大統領官邸(現在のホーチミン市の「統一会堂」)の2階に駆け上がり、南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)の旗を何度も振っ...

4月のベトジョー記事10選:トランプ関税、石破首相訪越など (1日)

 4月は、ドナルド・トランプ米大統領が、世界各国からの輸入品に対し「相互関税」を課すと発表しました。180以上の国・地域に一律10%の関税を課した上で、国・地域ごとに異なる税率を上乗せし、ベトナムに対し...

4月のベトジョー記事アクセス数ランキング (1日)

 VIETJOベトナムニュースが4月に配信した記事のアクセス数ランキングをご紹介します。 1位:200年の歴史を有する毒ヘビ養殖村、高収入も危険と隣り合わせ

4月30日の南部解放記念日と5月1日のメーデーに読みたい記事8選 (4/30)

 今から50年前の1975年4月30日、サイゴンの南ベトナム大統領官邸(現在のホーチミン市の「統一会堂」)の正門に2台の戦車が突入し、サイゴンが陥落しました。これにより、長く続いたベトナム戦争が終結しました。 ...

ベトナム軍事歴史博物館、南部解放記念日に伴う5連休は入館無料 (4/30)

 ハノイ市ナムトゥーリエム区にあるベトナム軍事歴史博物館は、4月30日(南部解放記念日)と5月1日(メーデー)に伴う4月30日(水)から5月4日(日)までの5連休中の入館料を無料とすることを決めた。  今回の決定は...

世銀、ベトナムの25年GDP成長率予想を+5.8%に下方修正 (4/29)

 世界銀行(WB)は先般発表した最新レポートの中で、ベトナムの2025年における国内総生産(GDP)成長率予想を前回レポートの+6.8%から+5.8%へと▲1.0%pt下方修正した。理由として、世界的な貿易政策の不確実性や経...

ハイテク・GX・半導体分野の高付加価値化で日越協力フォーラム開催 (4/29)

 石破茂内閣総理大臣は28日午後、ファム・ミン・チン首相とともに、日越企業が会するハイテク・グリーントランスフォーメーション(GX)・半導体分野における高付加価値産業創出に向けた日越協力フォーラムに参加...

ラムドン省:国会民族評議会議長が党委書記に転任 (4/29)

 ベトナム共産党政治局は、国会民族評議会議長のイー・タイン・ハー・ニエ・クダム氏を、南中部高原地方ラムドン省共産党委員会書記(2020~2025年任期)に任命した。  同省で28日に開催された任命式には、政...

ホーチミン:ビンタン区にブックストリートが新たにオープン (4/29)

 「第4回ベトナム書籍・読書文化の日」開幕に合わせて25日、ホーチミン市ビンタン区にブックストリートが新たにオープンした。  ビンタン区ビンチドンB街区の高技術医療区内に設置され、広さ約2000m2に12の...

石破首相、クオン国家主席とマン国会議長と会談 (4/29)

 ベトナムを訪問している石破茂内閣総理大臣とルオン・クオン国家主席は現地時間28日午前11時20分から約45分間にわたり、国家主席府で会談を行った。その後、現地時間同日午後2時20分から約40分間にわたり、国会...

THグループ、ビンズオン省に新工場建設へ 投資総額334億円 (4/29)

 THミルク(TH Milk)などを展開する乳業大手THグループ(TH Group)は、東南部地方ビンズオン省の第3ソンタン工業団地内に牛乳・乳製品加工工場「THビンズオン(TH Binh Duong)」を建設する計画だ。  同工場は敷...

統計局、戸籍登録・統計に関する国家レポートを初公表 (4/29)

 財政省傘下の統計局は25日、「2021~2024年度の戸籍登録・統計に関する国家レポート」を発表した。同レポートが発表されるのは今回が初めて。  同レポートでは、出生・死亡・婚姻の登録データに加え、出生...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved