ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

海外で農業に従事するベトナム人たち

2011/02/06 15:17 JST配信
(C) Dat viet, Huyen Nguyen
(C) Dat viet, Huyen Nguyen

 土壌や気候の違い、人間関係の難しさなどから海外農業移民の人気はそれほど高くない。しかし実際にはかなり多くの人が成功し、この道で生計を立てている。「農業への投資は初めかなりの額を要する割に商業ほど利益が出るのが早くない。それでも私は潜在的な可能性があると見込んでいる。だからこそロシアのボルガランドに農業移住した先人たちはこの道を選んだのだと思うから。」ロシアに移住したドゥオン・ハイ・アン氏はそう語る。

 ドゥオン・ハイ・アン氏は、まだ農業が充分に発達していなかったロシアにおいて野菜への需要が大きかったことを受けて、新しいビジネス、お金儲けの方法として農業をやることを決めた。そしてボルガランドの中心から38キロのところに200ヘクタールの農地を50年の期限付きで購入した。初めの頃は困難を極めたという。

 当時ロシアには中国産の野菜が浸透していたし、アン氏が持つ開拓の技術も極寒の地には対応していなかった。しかし、度重なる失敗を重ね、2004年には土壌も完全に改良し、2008年にボルガ-ベトナム合同会社を設立した頃には暮らし向きも良くなっていった。

 耕作技術の尊守と作付けから収獲までにおける適宜の栽培プロセスによって、今までのところボルガ-ベトナム社は、平均の150%から200%に及ぶ生産量を上げている。1ヘクタールあたり、小ナスなら7~10t、カボチャや苦瓜なら70~100t、トマトなら5000t、ジャガイモ、ピーマン、長ナスなら数百tが年間を通して収穫でき、ロシア各地のスーパーに出荷している。現在アン氏は約50人のベトナム人作農者を月給平均500ドル、食事と寮付きで雇い、さらに収穫時期には数百人のロシア人やアゼルバイジャン人を雇っている。

 アン氏ほどの大規模でなくても、ゲアン省ハティン出身の4人組、テー氏、フン氏、ホア氏、ロン氏もまたモスクワ郊外に58ヘクタールの農地を所有し、ネギやパクチー、赤カボチャなどを作っている。4人のところの従業員を合わせると年間約120人、17歳から40歳までの男女を月給200~250ドルで雇用している。

 テー氏によると1ヘクタールあたりの収穫量は、ネギやパクチーの場合は10~15t、赤カボチャの場合は50tほどになるという。全ての野菜はロシアの市場から、スーパーマーケットや市内の小売店へ出荷している。粗利で計算して、毎年夏の収穫時期には何も障害がなければ、各自が数十万ドルぐらいの収入だという。諸経費を差し引くと、凶作の年などは赤字が出ることもある。

 ロシアに移住したベトナム人とは異なり、アメリカに移住したベトナム人はオレンジ、カスタードアップル、ミルクフルーツ、マンゴー、バナナ、竜眼などの熱帯性植物を栽培している。例えばグランド・アジア・パシフィック貿易会社グループの社長ピーター・ホン氏は、アメリカのフロリダ州において、種無しグァバやゴールデンカスタードアップル、高級種のオレンジなどを栽培し、高い収穫量を上げている。

 オーストラリアやニュージーランド、イギリスの学生で、人生を変えるとか金持ちになるとかいう野心がなくても、副収入を得るために、夏季休暇の度にバックパックを背負い農場へ行く若者がいる。「1日農場で働くと、平均100~120豪ドル(約8000~1万6000円)の「高収入」が得られる。仮に1日100豪ドルだったとしても、1か月も農場で働けば3000豪ドル(2万4000円)、ベトナム人学生なら丸1年分の生活費をまかなえるほどの額をを稼げることになる」オーストラリアのメルボルン大学に留学しているある学生は言う。

 仕事の内容は、オレンジ、リンゴ、トマト、イチゴ、アスパラガス、スイカなどの収穫のことが多い。農場に寝泊まりするなら5時起き、離れたところに寝泊まりするなら4時起きで迎えの車に乗る。作業時間はだいたい8~10時間、時期や地域にもよる。クイーンズランドのように北部の農場においては日照時間が短いため、南部の農場よりも働く時間が短く、終わる時期も早い傾向がある。

 最近はベトナムから中東やアフリカへ農業移住する人も増えている。例えば、イスラエルでは農家が農作物の世話に従事する基本の時間は一日に8時間、週に6日までと制度で定められている。基本月給は約1000ドル(8万2000円)。各種税金や水光熱費、食費などを差し引くと1か月760ドル(約6万3000円)ぐらいになる。もし毎日2~4時間さらに働いたとすると、その差し引き収入は1000ドルを超えることになる。ローゼルマン・ファームで働く29歳のグエン・ホアン・クオック氏はこう語る。「収入は安定していて、住んでいる場所も便利。特に雇い主は良くしてくれるし、ベトナム人の労働能力を高く評価してくれています」。

[Huyen Nguyen, baodatviet.vn, 6:01 AM, 17/01/2011, T].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ベトナム人ラッパーがNFTで音楽アルバムを発売、国内初 (5日)

 ベトナム人ラッパーのPjpoは6月3日、NFT(非代替性トークン)マーケットプレイスの「ダゴラ(Dagora)」と協力し、NFT形式で音楽アルバム「131km」をリリースした。  NFTでの音楽アルバム発売はベトナムで初め...

ダナン:ヘリコプター遊覧ツアーを3年ぶり再開 (5日)

 南中部地方ダナン市で2日、ヘリコプター遊覧ツアーが正式に再開された。  国防省ベトナムヘリコプター総公社(VNH)傘下の北部ヘリコプター(VNH North)が運航するもので、景観鑑賞と最新の航空技術体験を融合...

北部最大のテーマパーク「ビンワンダーズ・ブーイエン」が開業 (5日)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)は1日、北部紅河デルタ地方ハイフォン市ブーイエン島(dao Vu Yen)に北部最大規模となるテーマパーク「ビンワンダーズ

8人兄弟の学者一族「グエン・ラン家」、故クオン氏を偲ぶ【後編】 (6/29)

 ベトナムを代表する考古学者・人類学者で、音楽家としても知られるグエン・ラン・クオン(Nguyen Lan Cuong)氏が2025年5月6日、ハノイ市のベトナム国家大学ハノイ校(ハノイ国家大学)医科薬科大学附属病院で死去...

小型EVタクシー「レッツゴー」、開業1年で500万人輸送 (4日)

 小型電気自動車(EV)タクシーに特化した「レッツゴー・タクシー(Let’s Go Taxi)」は、2024年5月にサービスを開始してから1年間で約500万人を輸送し、走行距離は1500万kmに達した。  レッツゴー・タク...

テトラパック、ホーチミンで食品用紙容器工場の第2期を落成 (4日)

 食品用紙容器の開発・製造を手掛けるスウェーデンのテトラパック(Tetra Pak)は3日、ホーチミン市ビンタン街区(phuong Vinh Tan)の第2ベトナム・シンガポールA工業団地(VSIP2-A)工業団地にある食品用・飲料用紙...

サングループ、ホーチミンで社会・都市交通インフラ整備を提案 (4日)

 観光不動産開発を手掛けるサングループ(Sun Group)はこのほど、ホーチミン市人民委員会に対して、社会インフラおよび都市交通インフラに関する複数の大型プロジェクトの投資を提案した。これらの案件は官民パー...

地場NCS、AI活用のサイバーセキュリティエコシステムを発表 (4日)

 ベトナム国家サイバーセキュリティテクノロジー(Vietnam National Cyber Security Technology Corporation=NCS)は2日、企業や組織のセキュリティ対策を強化するための人工知能(AI)を活用したサイバーセキュリ...

クアンニン省:年末まで毎週末に打ち上げ花火を実施 (4日)

 東北部地方クアンニン省人民委員会は、同省文化スポーツ観光局の提案を受け、2025年7月4日から2026年1月1日までの毎週末(金・土)に、打ち上げ花火を実施することを決定した。地元住民や観光客向けのイベントと...

FPT、AIエージェント教育プログラムを導入 インド企業と提携 (4日)

 ベトナムを代表するIT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)は1日、インドの情報技術(IT)教育組織ジェットキング(Jetking)との間で、人工知能(AI)エージェント教育プログラムの

AI関連の地場スタートアップ「AI Hay」、1000万USD調達 (4日)

 人工知能(AI)を活用した検索プラットフォームを開発する地場スタートアップのAIハイ(AI Hay)はこのほど、東南アジアを中心にテクノロジー分野のスタートアップ企業に投資するアルゴー・キャピタル(Argor Capita...

6月のベトジョー記事アクセス数ランキング (4日)

 VIETJOベトナムニュースが6月に配信した記事のアクセス数ランキングをご紹介します。 1位:個人事業主への電子請求書義務化、店舗が敬遠で現金決済に逆戻り

6月のベトジョー記事10選:省・市再編の決議採択、国会閉幕など (4日)

 6月は、第15期(2021年~2026年任期)国会第9回会議が閉幕しました。今国会では、34本の法律を可決し、14本の決議を採択しました。  国会では、全国63省・市の行政区を大幅に削減して34省・市とする行政区再...

クアンガイ省:ズンクアット経済区で新都市区開発、投資方針承認 (4日)

 チャン・ホン・ハー副首相はこのほど、南中部地方クアンガイ省ズンクアット経済区内でのズンクアット東南新都市区北側・南側の2件の開発案件の投資方針を承認する決定に署名した。  ズンクアット東南新都市...

ベトナム航空、ダナン~大阪線を約5年ぶり運航再開 (4日)

 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は3日、2020年以来約5年ぶりにダナン~大阪線(VN336/VN337)の運航を再開した。同路線は週4便の運航となる。  ベトナム航空は同

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved