ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

口で絵を描く枯葉剤被害者の青年「人生は自分の手の中にある」

2019/12/08 05:09 JST配信
(C) vnexpress
(C) vnexpress

 チャウさんが基本的な線の描き方と色使いを習得した頃、先生が海外に行くことになり、絵画クラスは終了してしまった。教えてくれる先生がいなくなり、チャウさんは独学で絵のレイアウトを学び、本や雑誌、絵などから色の配合を勉強した。しかし、チャウさんの夢を消しかねない、最大の障壁は、痙攣する腕を自身でコントロールできないことだった。そのため、1枚の絵を描き上げるのに約6時間を費やした。

 画家になることを夢見ていた当時9歳のチャウさんは、平和村で友達に笑われ、先生たちに不可能な夢だと絵筆を没収されても諦めることはなかった。創造への意欲はさらに強くなり、「身体に障害があっても才能に制限はない」ことを証明するため、チャウさんは努力を続けた。

 「ある時、障害者が口で絵を描いている写真を偶然目にして、なぜ自分は彼女のようにしなかったのかと突然閃きました。自分の容姿を自分で選ぶことはできませんが、自分の人生は自分の手の中にあるんです」。

 絵を描く中で、アクシデントも起きる。口の中で折れた筆が顎に刺さって流血したり、インクを飲み込んでしまったりすることもよくある。数え切れないほど筆を壊しては交換してきた。そして3年近く練習し、チャウさんは口を使って筆を思いのままに動かして絵が描けるようになった。

 「もし普通の人が1努力するなら、私はその2倍、3倍、10倍だって努力します。忍耐力により自分自身の限界を越えることができ、不可能を可能にすることができるんです」とチャウさん。

 チャウさんは17歳で平和村を出て、苦労しながらも口で絵を描くことで生計を立て、自分のアトリエを持つという夢を育てた。

 そして20歳の時、初めてホーチミン市7区に自分のアトリエを開き、創造できる喜びに感激した。「創造性は画家にとって最も重要な要素です。私は決して誰かのアイデアを真似しません。それが違いを生み出すための秘訣なんです」とチャウさんは教えてくれた。

 チャウさんは良いアイデアが浮かぶと一晩中起きて絵を描き、アイデアが浮かばなくなると寝た。10分で描き終わった絵もあれば、1年がかりで完成させた作品もある。 毎日20時間以上、夢中で絵を描き、デザインを考え、外国語も学んだ。身体に良くないとはわかっていても、絵を描くことへの情熱を止めることはできなかった。そして、この20年間にチャウさんが描いた絵はおよそ2000枚に上る。

前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 14:00 04/10/2019, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ラム書記長とトランプ米大統領が電話会談、貿易協定の枠組み合意 (17:54)

 トー・ラム書記長はベトナム時間2日夜、ドナルド・トランプ米大統領と電話会談を行い、両国関係と両国間の相互関税について話し合った。  両首脳は電話会談で、両国関係が良好かつ急速に発展していることに...

ベトナム初のグリーンB2B電子商取引所「EcoHub」誕生 (17:43)

 アロビッド・テクノロジー(Arobid Technology)は1日、ベトナム初となるグリーンB2B(企業間取引)電子商取引(eコマース=EC)プラットフォーム「エコハブ(EcoHub)」を発表した。  エコハブは単なるオンライン...

PEPI指数を初発表、再編後の34省・市の経済的地位を数値化 (17:26)

 ベトナムの経済データ関連スタートアップ企業のベトスタッツ(Vietstats)は1日、全国34省・市を対象とした初の包括的な経済評価指数「地方経済ポジション指数(PEPI)2025」を発表した。  PEPIは、これまでの...

8人兄弟の学者一族「グエン・ラン家」、故クオン氏を偲ぶ【後編】 (6/29)

 ベトナムを代表する考古学者・人類学者で、音楽家としても知られるグエン・ラン・クオン(Nguyen Lan Cuong)氏が2025年5月6日、ハノイ市のベトナム国家大学ハノイ校(ハノイ国家大学)医科薬科大学附属病院で死去...

ベトテル、ダナンでハイテク複合ビルを着工 27年完成 (14:54)

 南中部地方ダナン市人民委員会と国防省傘下の携帯通信大手ベトナム軍隊工業通信グループ(ベトテル=Viettel)は1日、ハイテク複合施設「ベトテル・ダナン・ビルディング(Viettel Da Nang Building)」の着工式を...

モビフォン・ワンマウント・テクコム銀、デジタル決済会社を設立 (13:59)

 携帯通信大手のモビフォン(Mobifone)、テクノロジー企業のワンマウントグループ(One Mount Group)、大手民間銀行のテクコムバンク[TCB](Techcombank)は、電子決済事業を手がける新

バイクの初回登録料、全国一律2%に (13:51)

 政府は6月30日、車両登録料を規定する政令第10号/2022/ND-CPの一部を改正・補足する政令第175号/2025/ND-CPを公布した。新政令は7月1日に施行された。  新政令によると、7月1日から、バイクの初回登録料が...

カインホア省:バンフォン経済区で2つの都市区を開発、首相承認 (6:10)

 ファム・ミン・チン首相は、南中部地方カインホア省バンフォン経済区における「トゥーボン都市区」と「ダムモン都市区」の2つの都市区開発プロジェクトの投資を承認した。  トゥーボン都市区は、面積2579ha...

ホーチミン:メトロ1号線、1日26本増便 省・市合併で需要増 (6:10)

 ホーチミン市は7月1日から8月15日まで、同市都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~スオイティエン間)の運行本数を増やす。  これは、ホーチミン市と東南部地方ビンズオン省、同バリア・ブンタウ省の3省・市が...

1~6月期の海外派遣労働者数7.5万人、日本向けが最多3.5万人 (5:24)

 内務省傘下の海外労働管理局(DOLAB)の発表によると、2025年1~6月期にベトナムから海外に派遣された労働者数は7万4691人で、年間計画の57.4%に達した。  派遣先別に見ると、日本が3万5240人で最多を維持し...

「病畜の肉」流通疑惑のCPベトナム、立件見送り 違反なしと結論 (5:02)

 タイ系畜産大手CPベトナム(CP Viet Nam)が病気の豚や鶏の肉を販売していたとソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で告発されたことをめぐり、南部メコンデルタ地方ソクチャン省警察は6月29日、捜査を...

韓国コーヒーチェーン、ベトナム1号店をホーチミンにオープン (4:14)

 コーヒーチェーンを展開する韓国のザ・ベンティ(theVenti)はこのほど、ホーチミン市ビンタイン街区のグエンザーチー(Nguyen Gia Tri)通り162A番地に「ザ・ベンティ」のベトナム1号店をオープンした。同社の海外...

ホーチミン:観光用電気自動車の運行を一時停止 (4:12)

 サイゴン公共交通機関社(Saigon Public Transport)は、新たな規定の施行や交通インフラの未整備を理由として、6月30日をもってホーチミン市内中心部での観光用電気自動車(EV)の試験運行を一時停止した。  ...

ベトジェットエア、7月7日限定で運賃77%割引キャンペーン (3:36)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は、7月7日(月)の午前0時から23時までの1日限定で、ベトナム国内線と国際線の航空券を対象に、エコクラス運賃が最大77

メディアコンテンツ制作会社と旅行会社が提携、地域交流を加速 (2:57)

 ベトナムのメディアコンテンツ制作会社で「新婚さんいらっしゃい!」や「あいのり」など日本の人気番組のベトナム版制作を手掛けるMCVグループコーポレーション(MCV Group Corporation、ホーチミン市)と、旅行...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved