ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

自閉症の少年画家たちの夢、絵画で人生を彩る

2022/05/22 10:21 JST配信
(C) vnexpress
(C) vnexpress

 家計が一時的に落ち着いた2016年10月、ロンさんはヒエウさんに連れられて美術センターに通い始めた。しかし、その矢先にロンさんの父親が交通事故で突然亡くなってしまった。経済的な負担がヒエウさんの肩に伸し掛かり、ロンさんは家で過ごすしかなくなった。

 それでもロンさんは絵画を学びたがり、毎日ドアの前に立って、いつになったらまた美術センターに行けるようになるのかと母親に尋ねた。熱心に待ち続ける息子の様子にヒエウさんは心を痛め、何日も考えた後、ある週末に息子をバスに乗せて美術センターに連れて行った。それは、夫の死から4か月が経ったころだった。

 2016年11月、以前お世話になった先生から「子供の感覚」というテーマで青少年絵画コンクールが開催されることを知らされ、ヒエウさんはロンさんの絵画2作品をコンクールに応募した。

 ハノイ市の旧市街を描いたロンさんの作品は特別賞を受賞し、1億VND(約55万円)でオークションにかけられ、子供のための慈善基金の支援に充てられた。審査員の1人は、「この子の思考はもはや子供ではなく、大人のようだ」と称賛し、ロンさんに無料で絵画を教えることを受け入れた。

 その審査員の先生のレッスンは週4~5回、7か月間にわたって続き、ヒエウさんは毎日午後になるとロンさんをアトリエに連れて行った。初めてキャンバスと筆の使い方を教えてもらった時、当時11歳だったロンさんはまるで自分自身の世界に戻ってきたかのような様子だった。

 ロンさんはペンでサイズを測りながら描くのではなく、全てを想像しながら描く手法をとった。まずキャンバスに向かってイメージしながら手を動かし、それから実際に筆を使って描き始める。「描き始める前に、キャンバスの枠内に描く全てのものを配置しているんですよ」とヒエウさんは教えてくれた。

 ロンさんが本格的に絵画の道に進み始めてから、息子がより深く学ぶことができるようヒエウさんは積極的に美術グループの集まりに参加するようになった。ロンさんが17歳になった現在は、有名な画家や建築家が名を連ねるハノイ市旧市街の風景画を専門に描くグループの一員になっている。2018年にはロンさんの絵がコンテストに応募するための作品としてグループ内で選ばれ、「画家ブイ・スアン・ファイ−ハノイへの愛」と題した展覧会で入賞を果たした。

前へ   1   2   3   4   次へ
[VnExpress 07:00 05/04/2022, A].  © Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
臨時国会、序列4位のフエ国会議長解任の決議採択 (21:00)

 ベトナム共産党中央執行委員会が4月26日にブオン・ディン・フエ氏の政治局員・党中央執行委員・国会議長としての職の解任を決定したことを受け、国会は5月2日午後、人事手続きのため、第15期(2021~2026年)国会...

1~4月期のFDI認可額、前年同期比+4.5%増 日本3位(推定値) (17:58)

 計画投資省海外投資局(FIA)が発表した海外直接投資(FDI)に関するデータによると、2024年1~4月期のFDI認可額(推定値)は前年同期比+4.5%増の約92億7000万USD(約1兆4500億円)だった。  また、同期の実行額(...

4月の貿易収支、6.8億USDの黒字 1~4月期は84億USDの黒字(推定値) (17:51)

 統計総局(GSO)が発表した統計データによると、2024年4月の輸出額(推定値)は前年同月比+10.6%増の309億4000万USD(約4兆8266億円)、輸入額は同+19.9%増の302億6000万USD(約4兆7206億円)だった。これにより、同...

ホーチミンの街並みに残る路上床屋の文化 (4/28)

 ホーチミン市には、人生の半分以上の時間を他人の顔や頭髪を美しく整えることに費やしてきた人々がいる。路上床屋には、看板もなければ最新の備品もなく、使い古された革張りの肘掛け椅子と、古びた鏡、そして...

AbalanceグループのVSUN、ウエハ新工場の生産開始 (17:42)

 太陽光パネル製造事業やグリーンエネルギー事業などを手掛けるAbalance株式会社(東京都品川区)のグループで太陽光パネルの製造販売業を手掛けるベトナム・サナジー(Vietnam Sunergy=VSUN)は18日、太陽光パネル...

ベトナム人のスマホ利用時間、1日平均5.5時間 半分はSNSの利用.. (13:18)

 ベトナムの消費者リサーチサービス「Q&Me」が実施した2024年におけるベトナムの人気モバイルアプリに関する調査結果によると、ベトナム人のスマートフォン利用時間は1日平均5.5時間となり、前年の4.1時間から増...

5月施行の新規定、電気料金の調整間隔短縮など (6:17)

 2024年5月に施行される新規定5本をまとめて紹介する。 1.観光目的でベトナムに乗り入れる外国人車両の許可手続き  外国人の運転により観光目的でベトナム国内に乗り入れる車両の管理を規定する

鉄道の危険箇所は1000超、違法踏切など鉄道事故防止策を報告 (5:34)

 交通運輸省がこのほど政府に報告した、2019~2023年末の鉄道分野における交通秩序・安全確保に関する政策と法律の実施結果によると、南北統一鉄道の線路沿いには、鉄道交通事故が発生する危険のある箇所が1087...

ビンF、Q1の乗用車新規販売台数8200台 初めてシェアトップに (5:01)

 ベトナム国内市場における1~3月期の乗用車新規販売台数は5万7000台余りだった。このうち、地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電気自動車(EV)メー

シンガポール経営大学、ベトナム駐在員事務所を開設 (4:33)

 シンガポール経営大学(SMU)は25日、ホーチミン市にベトナム駐在員事務所を開設した。シンガポールの大学がベトナム駐在員事務所を開設するのはこれが初めて。    SMUの学生数は約1万3000人で、このうち...

ビンワンダーズ・ニャチャン、5月から毎週末に打ち上げ花火を実施 (3:30)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下のビンパール(Vinpearl)が運営するアミューズメントパーク「ビンワンダーズ・ニャチャン(Vin Wonders Nha Trang)

ドンタップ省:第2回ロータスフェスティバル、5月中旬開催 (2:17)

 南部メコンデルタ地方ドンタップ省カオライン市の文廟公園(cong vien Van Mieu)で5月16日(木)から19日(日)にかけて、「第2回ロータスフェスティバル」が開催される。2年前の第1回と同じく、故ホー・チ・ミン主...

映画ドラえもん のび太の地球交響楽、ベトナムで5月24日公開 (1日)

 映画ドラえもんシリーズ通算第43作となる「映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)」が、5月24日からベトナム全国の映画館で上映を開始する。  今作は、原作者である藤子・F・不二雄の生誕90周年...

電動バイクのペガ、新モデル「ペガeスマートAI」を発売 (1日)

 電動バイクメーカーのペガ(Pega、前身:HKバイク)が新モデル「ペガeスマートAI(Pega eSmart AI)」を発表した。国内市場での販売だけでなく、インドネシアとインドにも輸出する計画。  「ペガeスマートAI」...

4月30日の南部解放記念日と5月1日のメーデーに読みたい記事5選 (4/30)

 今から49年前の1975年4月30日、サイゴンの南ベトナム大統領官邸(現在のホーチミン市の「統一会堂」)の正門に2台の戦車が突入し、サイゴンが陥落しました。これにより、長く続いたベトナム戦争が終結しました。 ...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2024 All Rights Reserved