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ホーチミンのバックパッカー街、華やかさの裏で貧しく暮らす人々

2022/11/06 10:23 JST配信
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 クックさんによると、ここに最初に住み始めたのは母親であるファム・ティ・ティーさん(87歳)の代だという。ティーさんには10人の子供がおり、当時は寺の近くでサツマイモを売って生計を立てていた。その後、道路が開発され、同じ場所で商売を続けることができなくなった。

 ティーさんの子供たちが結婚し、子供が生まれると、同居する人数もどんどん増えていった。あまりの窮屈さに多くは他で家を借りて暮らすようになり、家の雰囲気は多少落ち着いた。

 ティーさんは2~3年前に大腸がんが見つかり、今はお粥と魚しか食べることができない。高齢で身体も弱っているティーさんは、家の中で子供や孫が行き来する姿を見ているだけだが、それが楽しみでもある。

 そんなティーさんも、外に出たくなり、こっそり出て行っては転んでしまったことも少なくない。現在の病状は良くないが、高齢であることとお金がないことで、手術を受けることも薬を買うこともできないでいる。

 3世代が一緒に暮らすとなると、けんかや意見の相違は避けられない。「2歩歩けば誰かにぶつかるので、もはや無視です。あれこれ考えるのは家のこと、家族のこと。そういう環境に疲れてしまうからなのか、お互いにイライラしやすくなるんです」とクックさんは打ち明けた。

夢も持てない人々

 表通りで商売を終えて帰宅したダン・ティ・タムさん(女性・43歳)は、ティーさんの一番下の娘だ。タムさんは家族の中で一番時間があるため、いつもごはんの支度を担当している。他の家族は病気で働くことができなかったり、午後から翌朝まで12時間以上も働かなければならなかったりするからだ。

 タムさんの夫は外で肉体労働をしたり、バイクタクシーの運転手をしたり、電気の修理をしたりと忙しくしており、誰かに呼ばれれば何でも引き受ける。タムさん自身はネイリストだが、月の稼ぎは頑張っても400万~500万VND(約2万3500円~2万9400円)、少ないときは300万VND(約1万7600円)ほどしかない。

 「もうここでの暮らしも長いですが、今さら家を売って他のところに引っ越すにも、どうしたらいいかわかりません。それに、こんな家、誰が買ってくれるでしょうか」とタムさんは悲しそうに言った。

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