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旧暦12月の半ば、南中部高原地方ザライ省出身の会社員のビック・ゴックさん(女性)は、昼休みを利用してテト(旧正月)前の旧暦12月27日にバイクで一緒に故郷へ帰るグループへの参加を申し込んだ。
ゴックさんは、バイクでの400kmの旅は決して快適ではないとわかっているが、他に選択肢はなかった。「ホーチミン市からザライ省まで長距離バスで帰るとなると、いつもの2倍の50万~60万VND(約3000~3600円)はかかり、さらにバイクの駐車料金も70万VND(約4200円)以上の出費になってしまいます。これだけで、テトに使うお金の5分の1が飛んで行ってしまうんです」とゴックさんは語る。
2023年のテトにも、ゴックさんはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でザライ省までバイクで帰省する仲間を探した。こうしたグループでは、旧暦12月の初めごろからお互いを知って詳細な計画を立てるためにオフラインで交流する。
そして、皆で約束した日に30~50人のグループで、道案内チームとトラブルサポートチームとともに、故郷へ向けて出発する。「私は女性で1人旅でもあるので、グループに参加することで安全に帰省することができます」とゴックさん。2024年のテトは、ゴックさんにとって2回目のバイク帰省となる。
ザライ省出身の工場労働者であるルオン・バン・トゥさん(男性・26歳)は、この4年間、同郷の仲間とバイクで一緒に帰省している。トゥさんは乗り物に酔いやすく、テトのぎゅうぎゅう詰めのバスに乗るのを避けるため、バイクで帰省しているという。「バイクで帰れば、途中で休憩したり食べたり飲んだり、時間も自由ですから」とトゥさん。
トゥさんがバイクで帰省するもう1つの理由は、仕事の都合でテト休みが直前までわからないため、休みがわかった時点ですでにバスの運賃が高くなっていたり、もしくは売り切れてしまっていたりするからだ。そのため、2019年末から「バイク帰省」のグループに参加し、同郷の帰省仲間を探している。