ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

クアンナム省チャーキエウ遺跡と日本人考古学者の30年間

2024/03/17 10:03 JST配信
(C) 山形眞理子
(C) 山形眞理子

 「チャーキエウは林邑の都であり、サーフィン文化から初期国家(チャンパ)への変遷のプロセスは、中部地方の他の地域よりも先に、クアンナム省とダナン市の地域で生じた可能性があると考えています。チャーキエウの考古学的な年代の枠組みを構築することは、北中部地方と南中部地方に存在する林邑の関連遺跡との比較研究においては不可欠であり、これはまた、考古学的な観点と方向性から林邑の歴史を見直すことにもつながります」。

 山形氏らの考古学調査・研究の成果としての重要な遺物の数々は、クアンナム省ズイスエン郡にあるサーフィン・チャンパ文化博物館に展示されている。これらの研究成果は、ベトナムと日本をはじめ、世界各国の学術雑誌に論文が掲載されているほか、出版もされている。

土地への愛と人への愛

 研究において重要な功績を残してきた山形氏は、ベトナムの多くの友人や考古学者の仲間たちからサポートを受けてきた。特に、チャーキエウが位置するクアンナム省ズイスエン郡の地元住民との縁も深い。

 中でも、ベトナム人女性考古学者の故グエン・キム・ズン氏は、山形氏がチャーキエウに関わるようになってから30年間にわたり山形氏をサポートし続け、2人は共に調査・研究を行い、固い絆で結ばれていた。

 山形氏いわく、これまでにたくさんの土地を訪れてきたが、その中でもズイスエンの人々、そしてクアンナムの人々の大きな愛情が心に残っているという。

 ズイスエン郡文化スポーツ部のズオン・ドゥック・クイ元部長は、山形氏が初めてチャーキエウを訪れたころのことを振り返り、こう語る。

 「先進国からやって来た眞理子にとって、インフラも整っていない環境での仕事はさぞかし大変だったことでしょう。でも、彼女はそんな環境をも乗り越えました。眞理子はベトナム語を聞くのも話すのもとても上手ですし、仕事をするときの彼女は信条があり、律儀で素朴で、誰からも本当に愛される、そんな人です」。

 過去30年間に山形氏は、チャーキエウの初期の年代の枠組みを構築したほか、チャーキエウが林邑の都であったこと、サーフィン文化から初期国家への変遷のプロセス、さらには他の文化との比較研究を通じてチャーキエウの地域とベトナム中部・北部の他の地域との関係性を明らかにするなど、大きな功績を残してきた。

 それだけではない。山形氏は、ベトナムと日本の若手研究者たちをつなぎ、指導を行ってきた。このように、情熱に溢れ、素朴で思慮深い山形氏は、クアンナム省の地に重要な貢献をしてきた考古学者の1人となっている。

前へ   1   2   3   次へ
[Bao Quang Nam 09:13 15/02/2024, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
クアンチ省:故レ・ズアン書記長の記念館が完成 (2日)

 北中部地方クアンチ省チエウフォン郡チエウタイン村で4月28日、南部解放・南北統一50周年(1975年4月30日~2025年4月30日)を記念して、故レ・ズアン書記長記念館の竣工式が開催された。  同省の重要革命史跡...

ホーチミン:空港新ターミナル行き電気バス路線を運行開始 (2日)

 ホーチミン市交通公共事業局傘下の公共交通管理センターは4月28日、ホーチミン市1区サイゴンバスターミナル(ben xe buyt Sai Gon)とタンソンニャット国際空港を結ぶ「109番」の路線バスについて、このほど開業...

ベトジェットエア、5月5日限定で運賃55%割引キャンペーン (2日)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は、5月5日(月)の午前0時から23時までの1日限定で、ベトナム国内線と国際線のエコクラス運賃が55%割引(税など含まず)

1975年4月30日、統一会堂でベトコンの旗を振った兵士の記憶 (4/27)

 1975年4月30日、特殊部隊の兵士だったファム・ズイ・ドー上尉(男性・75歳)は、南ベトナム大統領官邸(現在のホーチミン市の「統一会堂」)の2階に駆け上がり、南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)の旗を何度も振っ...

4月のベトジョー記事10選:トランプ関税、石破首相訪越など (1日)

 4月は、ドナルド・トランプ米大統領が、世界各国からの輸入品に対し「相互関税」を課すと発表しました。180以上の国・地域に一律10%の関税を課した上で、国・地域ごとに異なる税率を上乗せし、ベトナムに対し...

4月のベトジョー記事アクセス数ランキング (1日)

 VIETJOベトナムニュースが4月に配信した記事のアクセス数ランキングをご紹介します。 1位:200年の歴史を有する毒ヘビ養殖村、高収入も危険と隣り合わせ

4月30日の南部解放記念日と5月1日のメーデーに読みたい記事8選 (4/30)

 今から50年前の1975年4月30日、サイゴンの南ベトナム大統領官邸(現在のホーチミン市の「統一会堂」)の正門に2台の戦車が突入し、サイゴンが陥落しました。これにより、長く続いたベトナム戦争が終結しました。 ...

ベトナム軍事歴史博物館、南部解放記念日に伴う5連休は入館無料 (4/30)

 ハノイ市ナムトゥーリエム区にあるベトナム軍事歴史博物館は、4月30日(南部解放記念日)と5月1日(メーデー)に伴う4月30日(水)から5月4日(日)までの5連休中の入館料を無料とすることを決めた。  今回の決定は...

世銀、ベトナムの25年GDP成長率予想を+5.8%に下方修正 (4/29)

 世界銀行(WB)は先般発表した最新レポートの中で、ベトナムの2025年における国内総生産(GDP)成長率予想を前回レポートの+6.8%から+5.8%へと▲1.0%pt下方修正した。理由として、世界的な貿易政策の不確実性や経...

ハイテク・GX・半導体分野の高付加価値化で日越協力フォーラム開催 (4/29)

 石破茂内閣総理大臣は28日午後、ファム・ミン・チン首相とともに、日越企業が会するハイテク・グリーントランスフォーメーション(GX)・半導体分野における高付加価値産業創出に向けた日越協力フォーラムに参加...

ラムドン省:国会民族評議会議長が党委書記に転任 (4/29)

 ベトナム共産党政治局は、国会民族評議会議長のイー・タイン・ハー・ニエ・クダム氏を、南中部高原地方ラムドン省共産党委員会書記(2020~2025年任期)に任命した。  同省で28日に開催された任命式には、政...

ホーチミン:ビンタン区にブックストリートが新たにオープン (4/29)

 「第4回ベトナム書籍・読書文化の日」開幕に合わせて25日、ホーチミン市ビンタン区にブックストリートが新たにオープンした。  ビンタン区ビンチドンB街区の高技術医療区内に設置され、広さ約2000m2に12の...

石破首相、クオン国家主席とマン国会議長と会談 (4/29)

 ベトナムを訪問している石破茂内閣総理大臣とルオン・クオン国家主席は現地時間28日午前11時20分から約45分間にわたり、国家主席府で会談を行った。その後、現地時間同日午後2時20分から約40分間にわたり、国会...

THグループ、ビンズオン省に新工場建設へ 投資総額334億円 (4/29)

 THミルク(TH Milk)などを展開する乳業大手THグループ(TH Group)は、東南部地方ビンズオン省の第3ソンタン工業団地内に牛乳・乳製品加工工場「THビンズオン(TH Binh Duong)」を建設する計画だ。  同工場は敷...

統計局、戸籍登録・統計に関する国家レポートを初公表 (4/29)

 財政省傘下の統計局は25日、「2021~2024年度の戸籍登録・統計に関する国家レポート」を発表した。同レポートが発表されるのは今回が初めて。  同レポートでは、出生・死亡・婚姻の登録データに加え、出生...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved