ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

高齢化するホーチミンのほうき工芸村

2024/10/06 10:12 JST配信
(C) vietnamnet
(C) vietnamnet 写真の拡大
(C) vietnamnet
(C) vietnamnet 写真の拡大

 職人は、ヤダケガヤを割いてから束ねて結び、柄を付け、穂先を整えるという多くの工程を経る。どの工程でも職人の熟練した技術が求められる。ヤダケガヤを割く作業では素早さと正確さ、美しさが必要で、束ねて結ぶ作業では各束の形や重さ、サイズが同じになるよう高い精度が必要になる。

 幼い頃からほうき作りをしているというフイン・ティ・キム・タインさん(女性・63歳)は「各工程の中で、ほうきの穂をまとめる作業が一番難しいんです。この工程が、ほうきの丈夫さと美しさの決め手になるからです」と話す。

 長年の経験を積んだ職人は、ほうきの穂を均等にまとめることができる。ほうきの束には隙間がなく、まっすぐで歪みもなく均一で、きつく結んだ部分を握ると丈夫さが感じられる。一方で、ほうきの穂はしなやかにたわむ。

 主に手作業で行われるほうき作りだが、大変で、時に職人の健康に影響を及ぼすリスクも伴う。職人はヤダケガヤから飛び散る細かい粉塵にじかに接することに加えて、ワイヤーで手を切ったり刺したりすることもある。

 現在のほうきの価格は2万~4万VND(約120~240円)だが、近年ホーチミン市のほうき工芸村は中部地方で生産された製品や中国からの輸入品との激しい競争に直面している。

 重労働でも収入は低く、さらに過酷な競争に晒され、ホーチミン市の伝統的なほうき工芸村は時間の経過とともに徐々に縮小しつつあり、現在はわずか5~10世帯が家業を継続しようと奮闘しているに過ぎない。さらに悲しいことに、この工芸村には世代を引き継ぐ若い職人が残っておらず、ほうき作りに従事している職人たちは皆高齢で、最年少でも50代だ。

 伝統的なほうき作りを続ける家主のチャン・ドゥック・アインさん(男性・52歳)は、40年以上にわたりこの仕事に携わっているが、今ほど悲しいことはない、と残念そうに語る。競争の激化や収入の底打ちに加えて、若い世代が伝統的な仕事から離れてしまっているからだ。

前へ   1   2   3   次へ
[Vietnamnet 05:30 20/08/2024, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
スーパーホテル、ハノイに26年3月17日オープン 海外2店舗目 (16:39)

 ホテル運営を手掛ける株式会社スーパーホテル(大阪府大阪市)は2026年3月17日、同社100%出資のベトナム現地法人であるスーパーホテル・ベトナム(SUPER HOTEL VIETNAM)が運営する新店舗「スーパーホテルハノイ(S...

タイのアマタ、フート省で新たな工業団地を開発へ (15:01)

 北部地方フート省人民委員会は23日、タイのアマタ(Amata)に対し、ドアンフン工業団地(別称:アマタシティ・フート=Amata City Phu Tho)の投資登録証明書を交付した。  同案件はドアンフン村(xa Doan Hung)...

クアンニン省など4省で党委書記・人民委主席が交代 (14:02)

 各地方自治体の人事異動により、東北部地方クアンニン省と同カオバン省の共産党委員会書記、西北部地方ディエンビエン省と南中部地方カインホア省の人民委員会主席の4人が交代となった。 ◇クアンニン省共産...

ホーチミンの路上のライター修理店、愛好家の駆け込み寺 (21日)

 ある日の午後、60代と思われる男性が、壊れたデュポン(Dupont)製のライターを手に、ホーチミン市チョロン街区グエンチーフオン通りを訪れた。男性は、ファム・バン・コーさん(男性・72歳)の店である、古びて傾...

「ベトナム食文化名人」の称号、全国規模で初の授与 (14:00)

 ホーチミン市で23日、2025年の「ベトナム食文化名人」の称号の授与式が行われた。食分野に特化した称号の授与が全国規模で行われたのは初めて。  「食文化名人」の称号は15人に、「食文化名匠」の称号は6人...

ベトナム・モビリティショー2025、ハノイで12月26日から開催 (14:00)

 ハノイ市ドンアイン村の国家展示センター(VEC)で12月26日(金)から28日(日)まで、モビリティ分野の国際展示会「ベトナム・モビリティショー2025(Vietnam Mobility Show 2025)」が開催される。  同展示会は、...

ベトナム企業、アマゾン経由の輸出拡大 ブランド重視へ転換 (6:14)

 アマゾングローバルセリング・ベトナム(Amazon Global Selling Vietnam)はこのほど、国境を越えた電子商取引(eコマース=EC)に参加するベトナム企業の成長と成功事例をまとめた年次レポートを発表した。  ...

又吉直樹×ヨシタケシンスケ共著「その本は」、ベトナム語版を出版 (6:01)

 お笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹氏と、人気絵本作家のヨシタケシンスケ氏による共著「その本は」のベトナム語版がこのほど翻訳出版された。ベトナム語版では、「本の王国の奇跡(Dieu ky dieu o vuong quoc Sa...

ホーチミン:レロイ通りの改修工事が完了、都市景観が改善 (5:53)

 ホーチミン市サイゴン街区(旧1区)のレロイ(Le Loi)通りに立ち並ぶ、老朽化した建造物群の改修工事がこのほど完了した。クリスマスと新暦正月に向けて、ペンキの塗り直しや屋根の改修が急ピッチで進められ、市中...

ハイフォン:6.5万DWTの貨物船が進水、ベトナムの建造で最大級 (5:12)

 造船工業総公社(ShipBuilding Industry Corporation=SBIC、旧ビナシン=Vinashin)傘下のナムチエウ造船(NASICO)は北部紅河デルタ地方ハイフォン市で24日、貨物船「チュオンミン・ドリーム02(Truong Minh Dream...

外務省「第19回日本国際漫画賞」、ベトナムの作品が優秀賞 (4:24)

 日本の外務省が主催する「第19回日本国際漫画賞」で、ベトナム人作者・原作者の作品が優秀賞を受賞した。  今回は、110か国・地域から過去最多となる738作品の応募があった。また、トーゴやネパールなどの6...

極東貿易子会社のヱトー、ホーチミンに支店開設へ (3:58)

 産業設備や産業素材、機械部品などの事業を手掛ける極東貿易株式会社(東京都千代田区)の100%出資子会社であるヱトー株式会社(神奈川県横浜市)は、100%出資海外子会社のヱトー・ソリューションズ・ベトナム(ET...

環境配慮型素材のTBM、地場2社と炭素回収・利用で基本合意 (2:32)

 環境配慮型の素材開発および製品の製造・販売を手掛ける株式会社TBM(東京都千代田区)は、北中部地方ハティン省で石炭火力発電所を運営する第2ブンアン火力発電(Vung Ang II Thermal Power=VAPCO)および同省の...

26年の新暦正月、4連休に 内務省が発表 (25日)

 内務省は、間もなく迎える2026年の新暦正月に伴う休暇について、2026年1月1日(木)から4日(日)までの4連休とすることを発表した。  1月2日(木)が振替休日、1月10日(土)が振替出勤日となる。  当初は元旦...

ハノイ:メトロ5号線を着工、公共交通指向型都市開発モデル初導入 (25日)

 ハノイ市当局は19日、同市都市鉄道(メトロ)5号線(バンカオ~ホアラック間)プロジェクトを着工した。  同プロジェクトの投資総額は73兆2000億VND(約4300億円)で、公的予算で賄い、EPC(設計・調達・建設)方式...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved