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熟慮の末、夫妻はベトナムに留まることを決め、ホーチミン市にある施設を選んだ。個室と介助者がついて、費用は月約2000万VND(約11万円)だ。
「ここは50人の高齢者が暮らす大家族のような雰囲気で、若いスタッフの子たちは我々のことを『お父さん』『お母さん』と呼んでくれるんです」とホンさんは話す。
ハノイ市にある老人ホームのチャン・ティ・トゥイ・ガー所長によれば、これまでに10人以上の越僑を受け入れてきたという。多くは経済的に恵まれていたが、健康や境遇、または海外生活への適応の難しさからベトナムに帰国することを選んだ。
その1人で、チェコから帰国したグエン・ティ・ホアンさん(女性)は、2018年に2人の娘に呼ばれて渡欧し、一生をそこで過ごすつもりだった。
しかし、ホアンさんは2023年末、脳卒中を起こして入院した。言葉の壁で医師とのコミュニケーションに苦労し、治療は薬物療法のみで理学療法がなく、症状は改善しなかった。半月の入院と3か月の在宅療養を経ても、寝たきりの状態が続いた。
「毎日、窓の外の灰色の空を眺めながら、何の治療もせず、薬を数錠飲むだけで、とても焦りを感じました」とホアンさんは振り返る。
2024年3月、ホアンさんはベトナムへの帰国を決断し、ハノイ市リンナム街区にある老人ホームに入居した。理学療法や介護士、ソーシャルワーカーの支えのおかげで、現在は起き上がって飲食ができるまでに回復した。ただ、歩行だけはまだ困難だ。
「人に頼らなければならず、子供や孫と離れて暮らすことに落ち込むときもあります」とホアンさんは語る。「でも、少なくともここでは、食べたいもの、話したい相手、受けたい治療を自分で選択し、それに応えてもらえるのだからと自分に言い聞かせています」と続けた。