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母親のトゥエンさんは、リンさんとリエンさんとともにフーティエウを売り続け、チーさんを育て上げた。
しかし、2021年にトゥエンさんも心臓病でこの世を去ってしまった。当時、チーさんは簡単な料理を作ったり、自分の身の回りの世話をしたりできる程度で、買い出しや仕込みについては何も知らなかった。
母親の葬儀後、チーさんは店舗の上にある26m2の屋根裏部屋で一人で暮らすようになった。店は仕切る人がいなくなったため休業し、チーさんは市場の周りをあてもなく歩き、ちょっとした買い物をしたり、行き交う車を眺めたりしてから家に帰る日々を送っていた。
ある日の午後、リンさんが自転車でサータイ市場を通りかかると、チーさんが宝くじを売り歩いている姿を目にした。人に宝くじをひったくられても、チーさんはただその場に立ち尽くし、呆然とするばかりだった。
その様子を見たリンさんは、再びフーティエウ屋台に戻り、店を再開して「坊ちゃん」を養うことを決意した。「両親も、兄も姉も亡くなってしまって、私まで見捨ててしまったら、この子は他に誰も頼れる人がいませんから」とリンさんは当時を振り返る。
リンさんはリエンさんに声をかけて資金を出し合い、さらにチーさんの両親がチーさんのために遺したお金の一部も充てた。屋台の車体やテーブル、椅子、調理器具などは、もともと一家の所有物だった。
初めの頃、チーさんにできたのはテーブルや椅子を運び、拭き掃除をすることだけだった。その後、2人は持ち帰り用のフーティエウの袋を輪ゴムで縛る作業をチーさんに任せるようになった。チーさんの手つきは遅く、輪ゴムの留め方も緩かったため、何度も解いてはやり直した。リンさんは隣に座り、チーさんが自分でできるようになるまで手取り足取り教え続けた。
2人はさらに、氷を砕くこと、お茶を注ぐこと、持ち帰り用の袋を準備すること、料理を運ぶことなども一つひとつ教えた。チーさんに任せる作業を毎日一つずつ増やし、チーさんが覚えきれなかった部分は、翌日また最初から教え直した。

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