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- ベトナム人3人目の福岡アジア文化賞受賞
- 東南アジアの伝統と現代の建築技術を融合
- 日本留学経験、日本で修士号・博士号取得
福岡アジア文化賞委員会の承認を経て「2025年(第35回)福岡アジア文化賞」の受賞者が決定し、ベトナム人建築家のボー・チョン・ギア(Vo Trong Nghia)氏が芸術・文化賞を受賞した。
ベトナム人が福岡アジア文化賞を受賞するのは、1996年(第7回)に学術研究賞を受賞した歴史学者のファン・フイ・レ氏、2015年(第26回)に芸術・文化賞を受賞したデザイナーのミン・ハイン氏に続いて3人目となる。
福岡アジア文化賞は、1990年に福岡市と学界、民間がアジア地域の優れた文化の振興と相互理解および平和に貢献することを目的として創設したもの。アジアの学術・芸術・文化に貢献した人々に対して授与される。
ギア氏は、1976年生まれの48歳。東南アジアの伝統と現代の建築技術を融合し、地域の環境や植生に配慮した建築デザイン、竹や木を材料として扱う構造デザインなど、数多くの斬新な提案を実践している。急速に発展するベトナムの都市課題を解決する建築のあり方を追究し、環境に優しいエコロジカルな建築の姿を、説得力を持って提示している。
ギア氏は北中部地方クアンビン省で生まれ、1996年に日本政府奨学金を得て訪日し、名古屋工業大学を卒業後、東京大学大学院工学系研究科修士課程を修了した。社会基盤学専攻での修士論文に対して優秀論文賞である古市公威賞が授与され、東京大学総長賞も与えられた。
2006年にVTNアーキテクツを設立し、現在まで代表を務めている。2022年には早稲田大学で建築学の博士号を取得したほか、米国のイェール大学とペンシルバニア大学の客員教授を務めるなど、各地の大学で教鞭を執っている。
今回の福岡アジア文化賞は、琉球史研究の多方面に新境地を開いてきた歴史家で琉球大学名誉教授の高良倉吉氏が大賞を、韓国を代表する中国現代史研究者で延世大学名誉教授のペク・ヨンソ氏が学術研究賞を受賞した。授賞式は9月16日に行われる。