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信号機と浪費問題

2004/10/18 08:01 JST配信

 ホーチミン市では現在市内の交差点で信号機の取り替え作業が進められており、まもなく121ヶ所の交差点がすべて新しい信号機に替わる見込みだ。しかしこの取替え作業、話題の対象が信号機で毎日目にするものだけあって既に市民から多くの批判が寄せられている。

 そのうち「無駄遣い/浪費」だという批判が最も多い。というのもこの取替え作業にかかる費用は世界銀行による援助で総額350万米ドルにも上り、さらにこの巨額を信号機の新設ではなく既に設置されている信号機を撤去し、既設信号機が古い、新しいに関わらずすべて取り替るというものだからだ。

 しかも上記121ヶ所の交差点のうち48ヶ所は最近フランスの援助による1500万フランで設置されたばかり。この信号機は青信号に変わるまでの秒数がカウントダウンされ、何事にもせっかちで青信号になる前に飛び出してしまうのは日常茶飯事であるホーチミン市民からは好評を博していた。しかしこのように現在多くの支持を得ている信号機でさえもすべて一斉に取り替えられることになっている。

 また、2002年から市内の20区域で歩行者用信号が設置されているが、その使用方法は依然多くの市民には認知されておらず、それ以前に横断歩道を渡る習慣がない市民には到底“使うに及ばない”代物だったとさえいえよう。

 さらにボタンを押してから青になるまでに30秒かかることや青になったとしても全くほとんどのバイクは気にもとめずそのまま通過していくだけなので30秒待ってまで使用する価値など見出せないのが現状だろう。しかし、今回の新信号機のほとんどには歩行者用信号機が標準装備されている。このような価値がないと思われているものが次々に導入されているのを目の前にして市民の意見はさらに高まりを見せる。

 信号機の取替えにそんなお金を使うなら道のデコボコ、大雨による道路冠水の改善に使った方が何倍も市民の役に立つことかと思う者。朝夕の大渋滞の中道路を走りながら市内交通を改善できない市当局の遂行能力なさを目の当たりにし巨額のお金が無駄に使われているのかと政府高官の汚職を疑う者。交差点を通過する多くの市民の気持ちは様々ではあるが一様にやるせなさを感じているのは間違いない。

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