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入所者は300人超に上るが、トアイさんはそれぞれの病状や性格、エピソードを全て把握している。出生後すぐに治療を受けて40日後には完治した子供や、継続的な治療で通常の暮らしを送れている子供が多いが、発見が遅かった場合や免疫力がなく病に勝てなかった子供もいる。
ある女性は病気を発症後に男の子を出産し、亡くなる前にバイクタクシーの運転手に男の子を養育施設へ連れて行ってもらうよう託した。運転手はある男性へ男の子を預けたが、その後しばらくして男性は男の子を施設へ連れて来たという。
男の子は施設に連れて来られる時に男性に贈られたベストをそれはそれは大切にし、学校へ着て通い、誰にもベストに触れさせなかった。しかし、病気は次第に重くなり寝たきりとなった。ある時、入所者が連れ立って結婚式に出席することになり、1人の子が来ていく服がないと寂しそうにしていたところ、男の子は自分のベストを着て行くようにと申し出たという。その数日後に男の子は息を引き取った。
わずか7、8歳の子に誰がそのようなことを教えただろうか。お気に入りの物を、自分が逝く前に他人にあげるということを。例え貧しくても、病に伏していても「人情」は湧き出てくるものであることを、この男の子から教わったとトアイさんは語る。この男の子が教えてくれたことこそが、トアイさんの原動力となっている。
誰かが迎えに来るのを待ち望む子供が多い孤児院と違い、マイタムではそれぞれがお互いの性格を理解し、助け合い、新しい家族として共に暮らしている。
「きみたちの人生は私にとってとても大切なんだ」とトアイさんは毎日子供たちに言い聞かせている。病気を患っているだけでなく両親もない子供たちは、自分たちを大切に思ってくれる人はいないと劣等感を持つことが一番悲しいことだとトアイさんは考えている。少なからず1人は自分のことを大切に思う人間がいるということを知ることで明日への希望を持って欲しいとうのがトアイさんの願いだ。
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