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生徒たちがこの教室に通う理由は、音楽が自分にプラスの影響を与えてくれるからだ。ダオ・ティ・バンさん(女性・71歳)は、スマートフォンを使っていると目まいがして頭が痛くなるが、ピアノを習い始めてからというもの、頭がさえ、夜もぐっすり眠れるようになり、心も穏やかになったという。ピアノを練習することは、精神的にも身体的にもメリットがあるのだ。
音符を覚える記憶力や両手を動かす柔軟性が必要なピアノの演奏は、年配の人々には難しそうにも見えるが、むしろその「壁」が健康の増進につながる。
5年以上にわたりピアノを習っているキエットさんは、こう話す。「第1に、最初は硬かった関節が、ピアノを弾くうちに柔らかくなって痛みも和ぎました。第2に、音符を覚えることで脳が活性化され、老化による病気や認知症にもなりにくくなります」。
トさんは生徒たちとの会話の中で、「年配の人々は、仕事に行くこともなくなり、自宅で四方の壁に囲まれて過ごすだけで、1日を長く感じている」ことに気づいた。年配の人々のこうした心の内を理解したトさんは、この10年間、オンラインとオフラインの両方の形式でレッスンを続けてきた。
この4年間、トさんのアシスタントを務めているボー・ニャット・グエンさん(女性・28歳)も、年配の生徒たちが練習の進捗を嬉しそうに話してくれることが何よりの喜びだという。グエンさんは、「人の人生をより良くすることに貢献できたとき、自分自身の心も癒されるんです」と語った。