ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

タンロン遺跡で李朝時代の宗教建築遺構を発見、考古学者ら保護求める

2014/11/04 14:45 JST配信
(C) zing 遺構全景
(C) zing 遺構全景

 ハノイ市バーディン区のタンロン城王宮跡(タンロン遺跡)E地区でこのほど発見された李(リー)朝時代(1009~1225年)の宗教建築遺構が新国会議事堂の駐車場建設により破壊されかねないとして、考古学者らから同遺跡の保護を求める声が上がっている。

 これについてベトナム考古学院は10月29日、ベトナム社会科学研究所及び文化スポーツ観光省、同市人民委員会ほか多数の関連機関に対して、同遺跡の保護を求める文書を提出した。

 歴史科学会のファン・フイ・レ会長によると、同遺構はベトナムと同系統の文化を持つ中国や韓国、日本をはじめ、世界にも例を見ない独特な構造だという。同遺構は木材と石材を組み合わせて、李朝時代から、更に古い大羅(ダイラ、8~9世紀、現在のハノイ市)時代までの文化層を貫いて築かれている。

 同遺構は現在の地表面から2.23mの深さで発見され、中心に位置する長方形の遺構と、その東西に広がる2重円の土坑群という複数の構造から成る。総面積は約400m2。長方形の遺構の中央には直径66cmの大型の丸い石材が据えられ、それを取り囲むように4本の木材の梁が組まれている。また、遺構の壁面にも木材が敷き詰められ、強固に築かれている。

 考古学者によると、長方形遺構には少なくとも5つの木製装飾があり、このうち1つには李朝時代の特徴的な仏教美術様式である彩色及び龍の刻文が施されているという。こうした遺物から、同遺構が李朝時代の仏教に関連した何らかの建築であり、特に同時代の明道(ミンダオ)期(1042~1044年)に属するものであると考えられている。

 また、奈良女子大学の上野邦一名誉教授は、同遺構はC区にある八角形の建築の中心と直線上に繋がると考えられることから、E区も同遺跡の中心軸上に位置していた可能性があるといい、更なる研究のためにも同遺構を保護すべきと述べている。

 ベトナム考古学会のトン・チュン・ティン会長は、詳細な遺構の研究、また同遺跡にある他の遺構との相対的な比較研究を行っていくためにも、タンロン遺跡を構成する「資産」(核心地域、コアゾーン)及び登録資産保護のための緩衝地帯(バッファゾーン)の境界に当たる同遺構を現状のまま保護すべきと強調している。

 ハノイ国家大学人文社会科学大学人類学博物館のラム・ティ・ミー・ズン館長は、遺跡の保護について外国人専門家の協力を仰ぐべきとしており、特に自国での知識と経験、技術を持つ日本人を招くべきとコメントしている。

 なお、タンロン遺跡では10月20日に開幕した第8回国会を機に、同遺跡に建設中の新国会議事堂の運用を開始した。しかし、これに先立ちユネスコ(国連教育科学文化機関)は、世界遺産である同地区での新国会議事堂建設及びそれに伴う遺跡破壊は違反行為であるとして関係機関に説明を要求しているが、現在までのところ問題解決は図られていない。

[Trinh Nguyen, Thanh Nien, 03/11/2014 05:15, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
25年GDP成長率、IMFは下方修正・UOBは上方修正 (6:17)

 国際通貨基金(IMF)はこのほど、2025年におけるベトナムの国内総生産(GDP)成長率予想を従来の+6.8%から+6.5%に引き下げた。輸出の回復と海外直接投資(FDI)の流入が引き続き経済を下支えするとしながらも、米国...

ハティン省:日韓参画の第2ブンアン火力発電所、第1タービン完成 (6:03)

 北中部地方ハティン省ブンアン経済区で18日、三菱商事株式会社(東京都千代田区)などが出資する第2ブンアン火力発電(VAPCO)は、第2ブンアン火力発電所の第1タービンの完成式典を開いた。  同発電所は投資総...

ビンファスト、フィリピン最大手BDO銀と提携 EV事業強化 (5:50)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下のビンファスト・フィリピン(VinFast Philippines)は17日、V-GREENフィリピン(V-GREEN Philippines)およびGSMフ

「おかけになった電話は…」の音声案内で知られる「国民的声」の主 (14日)

 キム・ティエンさんの「黄金の声」は、ベトナム国営テレビ局(VTV)の19時のニュース番組と共に長年親しまれ、電話がつながらなかったときに流れる「おかけになった電話は…(Thue bao quy khach vua goi...)」とい...

地場電機アサンゾ脱税事件、元会長に禁固4年半の判決 (5:00)

 ホーチミン市人民裁判所は17日、地場電機メーカーのアサンゾ・ベトナム(Asanzo Vietnam)元会長のファム・バン・タム被告(男・45歳)に、脱税罪で罰金20億VND(約1120万円)、密輸罪で禁固4年6か月および罰金1億VND...

商船三井、クアンニン省の賃貸工場開発にキャピタランドと共同参画 (4:24)

 株式会社商船三井(東京都港区)の準本社であるMOLアジア・オセアニア(MOL (Asia Oceania)、シンガポール)は、シンガポールの不動産会社キャピタランド(CapitaLand)グループの中核企業であるキャピタランド・イン...

ベトナム版「令和の虎」出演の野村氏、地場AIスタートアップに出資 (3:26)

 人材紹介立ち上げ支援事業を手掛ける株式会社AGENT SUCCESS(東京都渋谷区)代表取締役の野村真央氏が、ベトナム発の革新的な人工知能(AI)スタートアップであるAIVOSに対し、エンジェル出資を実施した。  今...

「多摩ランタンフェスティバル」、多摩ニュータウンで10月開催 (2:55)

 日本総合住生活株式会社(東京都千代田区)は、10月11日(土)・12日(日)の両日、多摩ニュータウンの豊ヶ丘・貝取エリアで「多摩ランタンフェスティバル2025」を開催する。開催時間は両日ともに15時00分から20時00...

ハノイ:中央精神法医研究所党委所属の党員14人に除名処分 (18日)

 ハノイ市共産党委員会監査委員会は、保健省傘下の中央精神法医研究所共産党委員会(2020~2025年任期)に対し、警告処分を下した。  同研究所共産党委員会の指導力の欠如や監督・管理の怠慢により、所属する...

BAAとバンブー航空、国内初の准定期運送用操縦士の養成修了 (18日)

 ホーチミン市にあるパイロット養成センター「BAAトレーニングベトナム(BAA Training Vietnam)」で16日、ベトナム初となる准定期運送用操縦士(MPL)制度によるパイロット養成コースの修了式が開かれた。  こ...

コテコンズなど3社のJV、ロンタイン空港貨物ターミナル工事を落札 (18日)

 東南部地方ドンナイ省で建設中のロンタイン国際空港(第1期)のサブプロジェクト3(旅客ターミナルなどの施設建設)の投資主であるベトナム空港社[ACV](Airports Corporation Of Vietna

ダナン:シクロツアーに多言語AIガイド搭載、GPS連動で名所解説 (18日)

 南中部地方ダナン市では、伝統的なシクロに最新技術を導入し、ベトナム語や英語、中国語、韓国語、日本語など15言語対応の自動ガイドシステムを搭載したシクロ観光ツアーを試験的に実施している。  同市観...

カインホア省:人民評議会議長が人民委員会主席に (18日)

 南中部地方カインホア省人民評議会は16日、同省共産党委員会筆頭副書記 兼 同省人民評議会議長のグエン・カック・トアン氏を同省人民委員会の新主席(2021~2026年任期)に選出した。  トアン氏は新主席就任...

ラムドン省党委副書記がタインホア省党委副書記に、人民委主席兼任 (18日)

 ベトナム共産党政治局の決定により、南中部地方ラムドン省共産党委員会筆頭副書記のグエン・ホアイ・アイン氏が、北中部地方タインホア省共産党委員会副書記(2020~2025年任期)に任命され、タインホア省人民委...

訪越の露プーチン大統領補佐官、ラム書記長と会見 (18日)

 トー・ラム書記長は16日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の補佐官で、同国の海洋評議会議長を務めるニコライ・パトルシェフ氏と会見した。同氏は15日から18日までの日程でベトナムに滞在している。 ...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved