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夫婦はその場所を写真に収め親族に確認を取ったところ、まさに両親がかつて住んでいた所だったことが分かり、喜びと感謝の手紙が送られてきたという。手紙の最後には「あなたはベトナム人の優しさと尊さの象徴です」と書かれていた。
こんな感動のエピソードもある。ベトナム人とフランス人夫婦の間に生まれた息子が、終戦に伴いフランス人の父親についてフランスへ帰国したが、大人になってベトナム人の母親を探しに東南部地方ビンフオック省を訪れた。再会した母子は、ゴさんの代筆を介して文通をするようになったのだ。
再会から長い年月が経った今でも、母親は2~3か月に一度、息子宛てのフランス語の手紙を代筆してもらうためにビンフオック省からサイゴン中央郵便局へ来るそうだ。さらにフランスに住む息子は、母親宛ての直筆の手紙だけでなく、ゴさん宛てにも文通の手助けに感謝する旨の手紙を送ってきたという。
代筆することで人々の距離を縮め、幸せをもたらしているゴさんだが、「少しの手助けで私自身も皆さんからたくさんの喜びを得ています」と語る。毎日30~40人の客と記念撮影をし、語らい、たとえ疲れていても熱心に訪問客に対応する。
高齢のため、郵便局側もゴさんが昼休憩に涼める場所を設けたが、ゴさんは「職員に面倒はかけられない」と断り、昼になると近くの大衆食堂に行き1万VND(約45円)の食事を摂り、休憩するのだという。
御年86歳の代筆屋の信念はこうだ。「今日まで元気に人々のために代筆をしていられるのも神様のお陰なのだから、できる限りの謙虚さと道徳をもって生きなければならないのです」。
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