ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
RSS
Login
 ようこそ ゲスト様 
VietJo ID

両手を失くした溶接工、自分の生き方を見つけるまで

2022/10/23 10:37 JST配信
イメージ画像
イメージ画像

 しかし、すべてを自分で工夫してできるようになった時、ニュットさんは再び孤独に陥った。失ってしまった自分の両手に引け目を感じていたニュットさんは、ほとんど家の外に出ていなかったのだ。

 事故から約2年後、ニュットさんは友人が結婚式で演奏するというのでついて行ったところ、地元で音楽を教えているたくさんの教師たちと知り合った。彼らは、手足を使った肉体労働はできなくても頭を使ってお金を稼ぐことならできるでしょう、と、ニュットさんにもう一度学校に行くよう薦めた。しかし、ペンも持てないのだからとニュットさんはためらっていた。

 ある日、ニュットさんの父親がバイクを売ることになったが、母親は読み書きができず、他の身内もまた中学校も出ていなかったため、書類を書くことができなかった。そこでニュットさんが挑戦してみることになった。くねくねした線の落書きのようではあったが、読んで理解するには十分だった。「もしその時に試していなかったら、自分がまだ文字が書けるということすら知らないままだったでしょう」とニュットさん。

 それがモチベーションとなり、ニュットさんは6か月間の中学4年生 (日本の中学3年生に相当)の補習に登録し、その後は教育センターで高校の教育を受けた。自分はあまり勉強ができない生徒だったという自覚があったニュットさんは、基本的な知識を取り戻すためにオンラインでも自習するなど、積極的に勉学に励んだ。

 ニュットさんを3年間教えていた国語教師のファム・ゴック・チャンさん(女性・36歳)によると、当初はニュットさんが障がい者であることから授業についていけないのではないかと心配していた。しかし実際は、ニュットさんが授業についていけるというだけでなく、ノートの文字まで美しく書いていて驚いたという。「補習は馬に乗って花見をすれば学位がもらえるような簡単なものだと思っている人が多いのですが、ニュットさんは本当に努力を重ねて、3年間続けて全科目で優秀な成績をおさめたんです」とチャンさんは語る。

 大学進学を目前に控えたニュットさんは、「両親に一生自分の世話をさせるわけにはいかない」という考えから、自立して生活していくためにも故郷を離れてホーチミン市の大学に進学した。息子が自分で日常生活を送れることはわかっていたものの、携帯電話の画面越しに古いアパートで暮らしている息子の姿を見て、母親のバンさんは涙を堪えることができなかった。

前へ   1   2   3   4   次へ
[Dan Tri 01/09/2022, A].  © Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースと自社過去記事を参考に記事を編集・制作しています   利用規約   免責事項
新着ニュース一覧
養豚場の排泄物処理タンクで硫化水素中毒、5人死亡・8人負傷 (20日)

 北中部地方タインホア省の養豚場で18日夕方、作業員が有毒ガスを吸い込んで倒れる労働災害が発生し、5人が死亡し、8人が病院に搬送された。現場は密閉された排泄物処理タンクで、内部に高濃度の硫化水素(H2S)が...

西北部4省で豪雨被害、8人死亡・行方不明 再定住区建設へ (20日)

 西北部地方のライチャウ省、ラオカイ省、ディエンビエン省、ソンラ省で15日から18日にかけて、大雨による洪水や鉄砲水、土砂崩れが発生した。これにより8人が死亡または行方不明となり、2550億VND(約15億6000万...

ホーチミン:メトロ管理委員会と公安省系企業、技術移転などで協力 (20日)

 ホーチミン市都市鉄道(メトロ)管理委員会(MAUR)と公安省傘下のグローバルテレコム総公社(ジーテル=GTEL)はこのほど、同市のメトロネットワークにおけるシステム統合の研究と技術移転の受け入れに関する覚書(Mo...

クアンガイ省に息づく2000年の伝統、岩場で作る幻の塩 (19日)

 南中部地方クアンガイ省ゴーコー村の岩場では、製塩を行う住民が、天日にさらした海水を岩のくぼみに少しずつ注ぎ、塩を結晶化させている。こうして作られた塩は、観光客へのお土産として提供されている。 ...

ホーチミン:歩行者天国に初のデジタル行政・健康ステーション開設 (20日)

 ホーチミン市警察は、同市サイゴン街区(旧1区)のグエンフエ歩行者天国に、住民や観光客向けの無料デジタルサービス拠点「デジタル市民ステーション」を開設した。  電子身分証明アプリ「VNeID」を基盤に、...

フエ:遺跡群で露出度の高い服装や無許可のドローン使用を禁止 (20日)

 北中部地方フエ市のフエ遺跡保存センターはこのほど、世界文化遺産「フエの建造物群」の新たな見学規則を発表した。この規則は、文化遺産の価値を守り、安全で秩序ある見学環境を整えることを目的としている。 ...

国が発注した歴史映画、初の商業上映へ コンダオ刑務所描く (20日)

 文化スポーツ観光省傘下映画局はこのほど、ハノイ市で歴史映画「Thanh Am Vuot Dai Duong(海を越える響き)」のプレミア上映会を開催した。同作品は、国家の発注を受けて制作された映画として初めて、全国の映画...

BIDV、金融向け炭素会計パートナーシップに加盟 国内銀行で初 (20日)

 ベトナムで最も歴史のある元国営4大銀行のベトナム投資開発銀行[BID](BIDV)は、金融機関の温室効果ガス排出量の測定および開示の標準化を推進する国際イニシアチブである「金融向け

ビンファスト、学生向け新型ペダル付き電動バイク「アミオS2」発売 (20日)

 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電気自動車(EV)メーカーであるビンファスト(VinFast)はこのほど、新学期に向けて、学生向けの新型ペダル付き

タインホア省:「ASEANベトナム陶磁器バレー」第1期が完成 (20日)

 北中部地方タインホア省のバンタン・イエント産業クラスターで17日、「ASEANベトナム陶磁器バレープロジェクト」の第1期落成式が開催された。中国系エトリリオンセラミックス(Etrillion Ceramics)が投資主を務...

「イオンマックスバリュ」が南部進出、ホーチミンに初出店 (20日)

 イオンベトナム(AEON Vietnam)はこのほど、ホーチミン市初となる中小規模スーパーマーケット「イオンマックスバリュ(AEON MaxValu)」をオープンした。2020年にハノイ市で同モデルを初展開して以来、北部で店舗...

フィットネス最大手、2大都市の5店舗を閉鎖 社会保険料滞納も (20日)

 国内最大手のフィットネスクラブ運営会社カリフォルニア・フィットネス&ヨガ(California Fitness & Yoga)が、ハノイ市とホーチミン市の4店舗を8月後半に閉鎖するほか、ホーチミン市ブンタウ街区(旧バリア・ブ...

学研、日本の絵本文化をベトナムへ 「ぴよちゃん」イベント初開催 (20日)

 株式会社学研ホールディングス(東京都品川区)と株式会社Gakken(東京都品川区)、および学研ホールディングスの連結子会社である地場教育出版大手のDTPエデュケーション・ソリューションズ(DTP Education Solutio...

ホーチミン:第24回ベトナム国際医療展示会、7月30日から開催 (20日)

 ホーチミン市で7月30日(木)から8月1日(土)まで、「第24回ベトナム国際医療展示会(Vietnam Medi-Pharm Expo 2026)」が開催される。  同展示会には国内外の20か国・地域から400社が参加し、◇医薬品、◇医療機...

豪雨で西北部地方に甚大な被害、道路寸断や集落孤立も (18日)

 西北部地方のライチャウ省とソンラ省で、長雨による鉄砲水や土砂崩れが発生し、甚大な被害が出ている。ライチャウ省ムオンタン村(xa Muong Than)などで1人が死亡、5人が行方不明となっているほか、ソンラ省でも...

越日・日越辞書(8万語収録)
©VIETJO ベトナムニュース 2002-2026 All Rights Reserved