ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

11歳で一家の大黒柱になった少年、幼い弟妹と助け合い生きる

2022/12/25 10:10 JST配信
(C) vnexpress
(C) vnexpress

きょうだいたちの世話をする責任を負ったその日から、ミンくんは米の炊き方を覚え、丘に山菜を探しに行き、食べられるものがあれば持ち買って調理した。「はじめは米の炊き方も知らなかったので、いつも生の米を食べていました。でもだんだん慣れて、今ではご飯も炊けるし、卵や野菜もゆでられるようになりました」とミンくん。学校に行かない日は、朝5時に起きて2人の弟妹に食べさせる米を炊き、それからかごを持って田んぼに行き、水牛の世話をしている。

 学期中、ミンくんと弟妹は学校から食事を提供してもらい、肉や野菜もお腹いっぱいに食べられる。生徒たちは月曜日から金曜日の午後まで学校で3食食べて寝泊まりし、日曜日の午後にまた学校に戻る。お金のある家庭の子は親にバイクで送ってもらうが、ミンくんたちは小川を渡り、峠を越えて18kmの道のりを歩いている。

 そんな2021年の夏休み、ミンくんは家で水牛の世話をしていた。まだ米の収穫期ではなかったが家の米が尽きてしまい、ネズミを仕留めて食べようと弓を持って森に入った。しかし、不運にも放った矢が岩に当たって跳ね返り、ミンくんの目に直撃した。

 ミンくんは目を押さえながら走って家に帰ったが、ただ目の痛みに泣くしかなかった。病院に行くお金もなく、脱脂綿で目を覆っただけで2か月間耐えたが、右目が全く見えなくなり、ミンくんは自分が右目の視力を失ったことに気付いた。

 夏休みが終わる2021年8月、ミンくんの担任のホアン・クオック・キエンさん(男性・38歳)が学校に戻るよう伝えに生徒たちのもとを訪れた際、ミンくんが右目を負傷していることに気付き、慌ててミンくんをムオンニェー郡の病院に連れて行った。そこで医師から告げられたのは、すぐに治療しなかったことでミンくんの右目は永久に失明してしまったということだった。それ以来、13歳の少年は片目で生きていくことになった。

 学校に行くと「片目の少年」とからかわれ、両親もいない中、ミンくんは一番後ろの列の机の端に1人で座ってただ泣くしかなかった。キエンさんによると、失明した当初、ミンくんはクラスメイトから差別され、クラス替えを望んでいたという。「生徒たちが差別的な考えを改め、ミンくんの置かれている状況を理解できるよう毎日話し、励ましました」とキエンさんは語る。

前へ   1   2   3   4   次へ
[VnExpress 06:00 07/11/2022, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
国交75周年のベトナムとブルガリア、戦略的パートナーシップ構築 (6:29)

 ベトナム共産党のトー・ラム書記長は、ベトナム・ブルガリア国交樹立75周年(1950年~2025年)に当たり、22日から24日の日程でブルガリアを公式訪問した。23日には、ルメン・ラデフ大統領との首脳会談に臨み、双...

ベトナム・南ア首脳会談、年内に戦略的パートナーシップ格上げへ (6:03)

 ルオン・クオン国家主席は23日、ベトナムを公式訪問した南アフリカ共和国のマタメラ・シリル・ラマポーザ大統領と会談した。  ラマポーザ大統領はこの席で、南アフリカのみならず、世界が大きな変化の波に...

ベトナムIT最大手FPT、英チェルシーFCの袖スポンサーに就任 (5:28)

 イングランド・プレミアリーグのチェルシーFCは10月22日、ベトナムIT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)との間で、プリンシパルパートナーおよびユニフォーム袖スポンサー契

サイゴン動植物園にそびえ立つ樹齢160年・高さ62mの大木 (26日)

 ホーチミン市サイゴン街区(旧1区)のサイゴン動植物園には、樹齢160年余り、高さ62mの「サークー(xa cu)」の木がそびえ立つ。学名は「カヤ・セネガレンシス(Khaya senegalensis)」で、ムクロジ目センダン科カヤ...

日系企業主導の高層マンション、タワークレーン倒壊で作業員死亡 (5:15)

 南中部地方ダナン市警察は、同市ソンチャー街区で計画されている高層分譲マンションプロジェクト「ヒヨリ・アクア・タワー(HIYORI Aqua Tower)」の建設現場で発生したタワークレーンの倒壊事故について調査を進...

ホーチミン:国際旅客港3か所を新設へ、海洋観光を強化 (4:44)

 ホーチミン市は2026年から2030年にかけて、旧バリア・ブンタウ省(今年7月にホーチミン市と合併)の旧ブンタウ市およびカインホイ街区に、国際旅客港3か所を整備する計画を明らかにした。国際クルーズ客の受け入...

ホーチミン:低所得カップル50組が集団結婚式、メトロで会場入り (3:18)

 ホーチミン市で24日、50組の低所得カップルが「2025年の集団結婚式」に参加した。同プログラムは、ホーチミン共産青年同盟ホーチミン市支部(ホーチミン青年団)と同市青年労働者支援センターが主催するもので、...

過去最大のベジタリアンフェス、ホーチミンで10月末から開催 (2:12)

 ホーチミン市ビンフー街区人民委員会と同市飲食協会(FBA)は同街区ビンフー公園(cong vien Binh Phu)で10月31日(金)から11月4日(火)にかけて、ベジタリアンフェスティバル「グリーンフード・フェスティバル2025...

「読書100時間で50万VND進呈」ユニークに読書を推奨するカフェ (25日)

 「読書100時間で50万VND(約2900円)を進呈します」。  ホーチミン市バイヒエン街区(旧タンビン区)グエンタイビン(Nguyen Thai Binh)通り218番地にあるカフェ「サム・アートブックス&コーヒー(Sam - Art boo...

ベトナム美術博物館、毎月最終金曜日に「ミュージアムナイト」開催 (25日)

 ハノイ市のベトナム美術博物館は、開館60周年(1966~2026年)を記念するイベントの一環として、10月31日に「ミュージアムナイト」を開催する。  ミュージアムナイトは、2026年3月までの毎月最終金曜日に、そ...

「世界の美食の国トップ15」、タイ1位 日本3位 ベトナム4位 (25日)

 米国の大手旅行雑誌「コンデナスト・トラベラー(Conde Nast Traveler=CN Traveller)」が実施した読者投票「第38回リーダーズ・チョイス・アワード2025(Readers Choice Awards 2025)」の一環で発表された「世界...

デジタルトランスフォーメーション指数24年版、ハノイが初の首位 (24日)

 科学技術省はこのほど、全国34省・市を対象とした「2024年デジタルトランスフォーメーション指数(Digital Transformation Index=DTI)」を発表した。  7月1日付けで全国63省・市が34省・市に再編され、今回...

韓国系OKXE、中国ヤディア製電動バイクを販売開始 (24日)

 ベトナムで中古バイクの取引アプリ「OKXE」を提供している韓国系OKXEベトナム(OKXE Vietnam)はこのほど、中国の電動二輪車のトップメーカーであるヤディア・グループ・ホールディングス(雅迪集団=Yadea Group)...

ホーチミン市、タンソンニャット~ロンタイン空港間鉄道を提案 (24日)

 ホーチミン市人民委員会は、同市のタンソンニャット国際空港と東南部地方ドンナイ省で建設中のロンタイン国際空港を結ぶ鉄道路線の整備を政府に提案した。  ホーチミン市人民委員会は、同市のメトロ2号線(...

中国オッポ、ホーチミンにサテライト倉庫を開設 (24日)

 中国のスマートフォンメーカーであるオッポ(OPPO)はこのほど、ホーチミン市に東南アジア初のグローバルスタンダードのサテライト倉庫を開設した。倉庫は全国のオッポサービスセンター45か所への部品供給拠点と...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved