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この共同生活のきっかけを作ったのが、ディンホア郡出身で少数民族タイー(Tay)族のグエン・ティ・タイン・ハイさん(女性)だ。
ハイさんによれば、2000年代初頭に住民が高床式住宅を取り壊して煉瓦造りの家を建て、子どもたちがタイー族の伝統である民謡のテン(Then)や楽器のティン(Tinh)を知らずに育つのを見て、次の世代が民族のアイデンティティを忘れてしまうことを憂いた。
そこでハイさんは、ソンコン市にある自分の全財産を担保にして、30軒の古い高床式住宅を買い取ったのだった。
2003年、これらの住居をディンホア郡からタイグエン市郊外のティンドゥック村の広さ20haの土地に移築した。そして、タイー族の伝統的な慣習に従って生活するコミュニティを構築し、2年後にこのタイハイ村が誕生した。
当初はハイさんの家族とタイー族の文化を愛する10人余りが一緒に暮らした。住民たちは自ら水源を探しに行き、電気を引き、舗装用の煉瓦を焼き、道を切り拓き、まっさらな丘に木を植えた。
この「すべてを共有する」暮らしは、特に女性の負担を軽減する。ニュンさん(女性・40歳)は、タイハイ村での生活はあれこれやりくりする必要がなく「夢の中にいるよう」と語る。
朝食の準備も不要で、子どもの登下校も誰かに送迎を任せられる。誰かの結婚式の日には住民皆で準備する。ニュンさんは「私は商売とサービスが得意なので、責任を持って自分の仕事にだけ専念すれば、他のことは誰かが補ってくれます」と話す。
2014年、タイハイ村はタイグエン省から観光地として認定された。当初は景観目当ての観光客が多く、住民に食事の準備を依頼する程度だったが、ここの静けさと新鮮な空気、そして美味しい料理が評判を呼び、口コミで徐々に観光客が増えていった。こうして住民は部分的にコミュニティツーリズムに転向する一方で、伝統的な生活スタイルを堅持した。
2022年、国連世界観光機関(UNWTO)はタイハイ村を「ベストツーリズムビレッジ(Best Tourism Villages)」に認定した。
副村長のレ・ティ・ガーさん(女性)によれば、観光開発が進んでもタイハイ村はコアバリューを失っていない。観光を担うチームがある一方、酒造りやもち米のお菓子「チェーラム(Che lam)」作り、漢方の調合など、伝統的な仕事も各家庭で続けている。