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築90年という家もある30軒の高床式住宅は現在も昔の姿のまま、住民の生活空間として使われ、観光客にも開放されている。子どもたちはテンやティンを学び、高いところにある輪に玉を投げ入れる民俗遊び「ネムコン(Nem con)」を楽しみ、タイー語を話すことで民族のアイデンティティを継承している。
「タイハイ村は、タイー族の文化と高床式住居を守るために築かれました。私たちは高床式住居の『本体』だけでなく、その中に息づく文化的な生活や精神性そのものである『魂』をも守っているんです」とガーさんは語る。
ガーさんは、若い世代が村長や長老たちの努力を引き継ぎ、「共に食べ、共に使う」という独自の生活様式を守り続けてくれるだろう、と断言する。
ただし、タイハイ村のコミュニティは今や、タイー族だけのものではない。現在では、タイグエン省やハノイ市、東北部地方トゥエンクアン省、同フート省、北中部地方ゲアン省、南部メコンデルタ地方キエンザンなどの各地から、キン(Kinh)族、ヌン(Nung)族、サンチャイ(San Chay)族の家族も移り住み、共同生活を送っている。彼らは、幸福を重視し、伝統的な価値観を重んじるこの暮らしに共感し、移住してきたのだという。
タイグエン市で数学教師として働き、定年退職したレ・ティ・ハオさん(女性)は、タイー族の文化に魅せられ、コミュニティの生みの親であるハイさんに憧れて、2007年に夫と子どもたちとともにタイハイ村へ移住した。養蜂と錦織物作りをしながら暮らしている。
最初は『共に働き、共に使う』という仕組みに馴染めなかったが、共有することの喜びと貢献することの意味を理解してからは、幸せを感じるようになったという。「食べ物や着るもの、お金にこだわらない生活のおかげで心が軽くなり、自然と一体となって生きている実感があります」と語る。
冒頭のノン・ティ・ハオさんは、ヌン族の父親とタイー族の母親を持つが、高床式住居で育ったのはまだ幼い8歳までだった。ハオさんは「タイハイ村で暮らすようになって、まるで幼少期に戻ったような、自分の民族の文化に包まれて生きているような気分になり、やっと本当の幸せを感じることができました」と語った。