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南部メコンデルタ地方ドンタップ省に住むファン・ゴ・ジエム・フオンさん(女性・18歳)には「我が家」がない。フオンさん一家は「自宅」を持ったことがなく、フオンさんはこの18年間、母方の祖父母や叔母の家などを転々としながら暮らしてきた。
フオンさんの母親であるファン・ティ・トゥー・タムさんは、フオンさんが生まれる前に結婚生活が破綻し、実家に戻って子育てをしながら、カオライン市場で露天商をして生計を立てていた。しかし、フオンさんが生後間もない頃、露天商の売り上げでは日々の生活費が賄えなくなり、タムさんは兄の嫁であるレ・ビック・ゴックさんに娘を託した。
「露天商の仕事中に何度も倒れたので、彼女は仕事を辞めて工場労働者になり、年をとってから家政婦になりました。フオンが生後1か月と17日の時から今までずっと、私がフオンの面倒を見ています」とゴックさんは話す。
当初、ゴックさんとフオンさんは母方の実家で暮らし、生計を立てるために出稼ぎに行く親たちが置いていった何人もの子供たちと一緒に、苦しい生活を送っていた。ゴックさんも貧しかったが、脳性麻痺で娘を亡くしたばかりだったこともあり、夫側の親戚の子供たちのことを気の毒に思っていた。
「近所の人がいつも市場で野菜を拾ってきて豚に食べさせていたのですが、まだ新鮮な野菜があった日には、私に声をかけてくれたんです。いくらか選んで持ち帰り、きれいに洗って茹でてから子供たちに食べさせていました。それでも、みんなよく食べていましたよ」とゴックさんは当時を振り返る。