ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
RSS
Login
 ようこそ ゲスト様 
VietJo ID

消えゆく証言者の記憶、異国で戦死者の遺骨を捜す兵士たち【後編】

2026/08/09 10:25 JST配信
(C) VnExpress
(C) VnExpress

 フン中将は、実証に基づく方法が徐々に限界に達しつつあることを認めている。かつて仲間が犠牲になったのを直接目撃した人々は日に日に少なくなっている。多くは亡くなり、存命の人も記憶がもはや完全ではない。

 戦場だった場所も日々変化しており、証言者でさえ元の場所を再び特定することが困難になっている。たとえ場所が特定できたとしても、烈士の身元を確認するための有益な手がかりを見つけられる可能性はわずかだ。

 新しい捜索地域でショベルカーが表土を剥がし終えるたび、現場全体は静まり返る。クアンチ省軍事司令部所属の第584烈士遺骨収集隊の隊員が、それぞれ小さな区画を受け持ち、鍬、シャベル、左官ごてを使い、黙々と薄い土の層を削り取っていく。

 第584部隊の副隊長であるグエン・チュン・タイン中佐は、いつものように掘った穴に降り、握りこぶし大の土の塊を拾い、軽く握って土を崩してから、うつむいて観察する。この動作が毎日何百回も繰り返される。遺骨を捜す兵士たちにとって、それは1本の歯や小さな骨片も見逃さないための唯一の方法なのだ。

 「戦死から50年以上経過した遺骨は大部分が分解されています。土に紛れた数本の歯しか残っていないケースも多く、見分けるのが非常に困難です。もし急いでシャベルですくい、土を捨ててしまえば、痕跡も失われて、その烈士の身元を確認する機会は閉ざされてしまいます。烈士たちは国のために犠牲になりました。我々は最大限の敬意をもって、遺骨を引き上げなければならないんです」とタイン中佐は語る。

 タイン中佐によれば、以前は発見された遺骨のほとんどに遺品が残されていたものの、名前や番号、身分証明書などはなかった。収集作業が完了した後、遺骨は「情報未確認の烈士」として烈士墓地に運ばれていた。しかし現在では、DNA鑑定技術のおかげで、身元確認の可能性はますます高まっている。

 フン中将は、「烈士の遺骨捜索・収集・身元確認を強化する500日間集中プロジェクト」が特別な意味を持つ理由は、規模だけでなく、従来とは全く異なるアプローチにあると話す。

 以前は、各地方や部隊が独自の計画に基づいて捜索を展開していたため、規模が小さく、運営が統一されていなかった。烈士の遺骨の捜索・収集・身元確認の活動が、軍や政策部門だけの任務としてではなく、国家規模のプロジェクトとなったのは今回の「500日間集中プロジェクト」が初めてだ。

 「以前の烈士捜索は、主に遺骨を見つけることでした。しかし今、目標はそれにとどまらず、彼らの『本来の名前を取り戻す』ことでもあるんです」とフン中将は語る。

 内務省傘下功労者局のブー・ゴック・トゥイ副局長も、中央から地方、軍、警察、科学機関、DNA鑑定機関、各レベルの指導委員会に至るまで、すべての関係機関・組織が統一されたプロジェクトに参加するのは今回が初めてだと語る。「これほど大規模に総力を結集したことは、かつて一度もありませんでした」とトゥイ副局長は話す。

 「500日間集中プロジェクト」を予定通り進めるため、K73部隊の兵士たちは今年の乾季にあたる10月ごろにカンボジアに入り、そのまま現地で2027年のテト(旧正月)の大みそかを迎える予定だ。

 今回、部隊は7月初旬にある退役軍人から送られてきた図面により、新たな捜索地点を1か所特定した。その図面には、数本の鉛筆の線と殴り書きの注釈が添えられていた。

 図面には、1979年にカンボジアのバタンバン州で犠牲となった、第3軍団第234防空旅団所属の34人の烈士が眠っているとみられる位置が記されていた。電話越しに、その退役軍人は3人の将校の名前と階級しか思い出せなかった。

 「ぼやけたインクの跡や古い地図のような小さな手がかり1つでも、烈士たちが1日も早く家族のもとへ帰る道を開いてくれるんです」と、K73部隊の隊長は語った。

【関連記事】

消えゆく証言者の記憶、異国で戦死者の遺骨を捜す兵士たち【前編】 (2026/08/02)
戦死から58年、烈士が婚約者のもとへ「帰還」 遺骨発見で身元確認 (2026/07/29)
地中に眠る烈士の身元を特定、遺骨DNA鑑定の最前線 (2026/07/26)
婚約者の戦死から58年、80歳女性を「烈士の妻」に認定 (2026/07/21)
戦死者の遺影を無料で復元・デジタル化、ホーチミン市が展開 (2026/07/18)
ホーチミン:公園で烈士遺骨1000柱を捜索へ、地中レーダー活用 (2026/06/12)
半世紀の時を超え、古びた水筒が導いた兵士の帰郷 (2026/05/10)
戦死者の遺骨捜索・収集・身元確認プロジェクト、500日間集中実施 (2026/03/31)


前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 05:00 27/07/2026, A].  © Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースと自社過去記事を参考に記事を編集・制作しています   利用規約   免責事項
新着ニュース一覧
消えゆく証言者の記憶、異国で戦死者の遺骨を捜す兵士たち【後編】 (10:25)

前編はこちら  烈士(戦死者)の遺骨を捜す任務に就いて3年になる、北中部地方クアンチ省軍事司令部所属の第584烈士遺骨収集隊のグエン

配車グラブ、消費者権利保護法違反で罰金約820万円 (8日)

 商工省傘下国家競争委員会は、シンガポール系配車アプリ大手グラブ(Grab)の現地法人グラブベトナム(Grab Vietnam)に対し、消費者権利保護法などに違反したとして、罰金13億6000万VND(約820万円)の行政処分を科...

ハノイ:ゴッホのインタラクティブアート展、8月12日から開催 (8日)

 ポスト印象派を代表するオランダの画家フィンセント・ファン・ゴッホの作品をテーマにした多感覚型インタラクティブアート展「ファン・ゴッホ・タイムレス(Van Gogh Timeless)」が、ハノイ市フートゥオン街区(p...

世界ベストストリートフード都市、ホーチミン1位 ハノイ7位 (8日)

 英国のタイムアウト誌(Time Out)が発表した「2026年の世界ベストストリートフード都市(The world’s best cities for street food in 2026)」で、ホーチミン市が1位、ハノイ市が7位に選出された。このランキング...

26年夏の欧州旅行者の人気アジア旅行先、ベトナムが4位に (8日)

 デジタル旅行プラットフォーム「アゴダ(Agoda)」を運営するアゴダ・カンパニー(Agoda Company、シンガポール)が発表した2026年夏(7~8月)における欧州旅行者のアジア旅行先に関する宿泊検索データによると、人...

25年の即席めん需要、ベトナムは82.3億食に増加 世界4位を維持 (7日)

 世界ラーメン協会(WINA)によると、2025年におけるベトナムのインスタントラーメン(即席めん)需要は、前年比+1.2%増の82億3000万食で、順位は前年と同じく4位だった。また、1人当たりの食数では世界1位となって...

サン・フーコック航空、フーコック~クアラルンプール線を9月就航 (7日)

 観光不動産開発を中核とする地場系コングロマリット(複合企業)サングループ(Sun Group)傘下のサン・フーコック・エアウェイズ(Sun PhuQuoc Airways=SPA)は9月1日、南部メコンデルタ地方アンザン省フーコック島...

ベトコムバンク、35階建てタワーの運営会社を完全子会社化 (7日)

 みずほ銀行が出資する元国営4大銀行のベトコムバンク[VCB](Vietcombank)が、ホーチミン市サイゴン街区(旧ホーチミン市1区)にあるA+級オフィスビル「ベトコムバンク・タワー(Vietcom

ベトナム初開催のミス・ワールド、クアンニン省で8月11日開幕 (7日)

 世界3大ミスコンの一つである「ミス・ワールド(Miss World)」の第73回(2026年)大会が、8月8日から9月5日の日程でベトナムで初めて開催される。東北部地方クアンニン省、北部紅河デルタ地方ハイフォン市、南中部...

ベトナム・タイ国会議長が会談、貿易250億USD目標を再確認 (7日)

 チャン・タイン・マン国会議長はハノイ市で5日、ベトナムを公式訪問中のタイのソポン・ザラム下院議長と会談した。今回の公式訪問は、両国が1976年8月6日に外交関係を樹立して50周年を迎える節目にあたり行われ...

ビンホームズの都市区、ベトナム初の国際スマートシティ認証 (7日)

 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)子会社で住宅開発最大手ビンホー

ホーチミン:ユーチューブで著作権侵害、歌手ら2人を立件 (7日)

 ホーチミン市警察は5日、著作権・著作隣接権侵害の容疑で、歌手のグエン・ティ・ヒエン容疑者(女)と、メディア・エンターテインメント企業のユニコーン・ベトナム(Unicorn Vietnam)の社長グエン・タイン・ヒエ...

SJC元社長、控訴審で禁固21年に減刑 被害回復を考慮 (7日)

 ホーチミン市上級人民裁判所は5日、同市人民委員会傘下の金・宝飾品大手であるサイゴンジュエリー(Saigon Jewelry=SJC)の元社長レ・トゥイ・ハン被告(女)の控訴審で、一審判決(2025年9月)の禁固25年から禁固21...

ホイアン日本橋、シースルー服の観光客に退去促したガイドに称賛 (7日)

 南中部地方ダナン市ホイアン街区(phuong Hoi An、旧クアンナム省ホイアン市)の世界文化遺産である旧市街のシンボルの「来遠橋(Cau Lai Vien、別称:日本橋、橋寺)」で、露出度の高いシースルーの衣装を着た外国...

FPTとQsol、九電向けシステム開発・運用保守で協業 (7日)

 ベトナムの情報通信(IT)最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)グループの日本法人FPTジャパンホールディングス株式会社(東京都港区)の子会社であるFPTソフトウェアジャパン株式

越日・日越辞書(8万語収録)
©VIETJO ベトナムニュース 2002-2026 All Rights Reserved