ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

ベトナムの人材事情(6):ベトナム人の転職動機スイッチと繋ぎ止め策

2016/04/30 06:00 JST配信

 こんにちは、G.A.コンサルタンツの関です。大分ご無沙汰しております。出だしから個人的なお話で恐縮ですが、実は長年住み慣れていたホーチミン市を昨年末に離れ、今は生活の拠点がハノイ市へ移っています。引き続きホーチミン市には頻繁に出張で顔を出しておりますが。そういった事情もありまして、前回の執筆から本当に長く空いてしまいました…申し訳ありません、ただの言い訳でございます。

 折角ですので、こうしてホーチミン・ハノイの両方を経験させて頂いているからこそ感じられる、南北のマーケットや人材タイプの比較などを今後のテーマにしていければと思っております。改めまして宜しくお願い致します。

ベトナム人の転職動機スイッチ

 この3月、4月にかけては私自身の周りでも色々な方が帰任しました。丁度人が入れ替わる時期なのでしょうね。機を同じくしてベトナム人の中でも辞職・転職が1年の中で一番起きやすい季節で、ここでも人の入れ替えが起こっています。ただ、パフォーマンスがそこそこという人はいいとしても、中核のスタッフがドンドン辞めてしまってはダメージが大きすぎますよね。なぜそういう状態が起こるのでしょうか。

 海外マネジメントの1つの問題として、優秀なスタッフを採用するのと同じくらいのウェイトで重要視されているのが、リテンション―従業員繋ぎ止め策です。例えば日本人的な感覚では、職務上で相当大きな失敗をした時、また生活環境が大きく変わって現職を続けることが難しくなった時に転職を意識します。つまり問題が起こった時に初めて転職動機が起こってくるのが日本人の考え方です。

 一方で、ベトナムをはじめとした東南アジア圏の国々では、この転職動機スイッチが違うところについている、いや、むしろずっと付けっ放し状態とも言えるかもしれません。問題が起こったから転職を考えるというより、「現職よりもっと良いところはないかな」と考えながら仕事をしています。このスタンスの違いは非常に大きいです。

ベトナム人従業員の繋ぎ止め策

 そして、この「もっと良い」をどう捉えるのかがなかなか厄介です。待遇条件、職場環境、仕事の面白さ、どれなのかわかりません。もしかしたら全てが該当するのかもしれません。弊社に登録に来られる方との第一次面談でもよく見られるのですが、何を求めて転職をするのかはっきりしていない方が多いのです。

 以前実施したベトナム人求職者への意識調査の結果では、現職を続けている一番の理由は何か、という問いに4分の1くらいの方が「他に適当な仕事が見つからないから」という回答を選択していました。漠然と転職活動をしている人は日本人が思う以上に多いと考えた方がいいでしょう。

 まだ企業勤めの文化が根付いてない点、歴史的にも組織は個人を守ってくれないので自ら守っていくしかないという自衛的DNA、これらの背景が重なり合い、今の就業感を形成しています。日本人とは大きく発想の根底にあるものが違っています。

 そこで、リテンション策を考えるときには、まずはスタッフ目線に立ってみて、ベトナム人スタッフを留まらせる「アンカー(=錨)」を作っていくことをおすすめします。例えて言うと、日本での辞職防止のアプローチは病気の治療、ベトナムの場合は病気の予防、と考えることができます。

 次回は病気予防策としてのそのアンカーについて、どういった施策があるのか、カテゴリーや具体的事例を交えてお話をしたいと思います。

著者紹介
関 岳彦 (せき たけひこ)

G.A.Consultants Vietnam 代表
大学卒業後G.A.コンサルタンツへ入社。
2005年よりベトナム人の人材紹介を行うVieclamBank(ベクラムバンク)事業の立ち上げでベトナムへ駐在を開始。その後日本人のベトナム就職のためのブランドR-Vietnamを展開。
日本人求職者のキャリアコンサルティングを行う一方、ベトナム国内の日系企業のうち、累計500社超に及ぶ採用をサポート。現在はホーチミンを基点にハノイ、ジャカルタ、ヤンゴンのオフィス間を行き来する。
◇ベトナム人紹介サイト:vieclambank.com
◇ベトナムで働きたい日本人のためのサイト:r-vietnam.com


ベトナム人材事情
その他の記事はこちら>
[2015年4月30日 ベトジョーコラム A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
国連サイバー犯罪条約「ハノイ条約」、72か国が署名式に参加 (6:39)

 「国連サイバー犯罪条約」の署名開始式が25日と26日の両日にハノイ市で開催された。同条約は、サイバー犯罪対策のための国際協力を強化し、デジタル上の脅威から社会を守ることを目的としたもので、ハノイ市で...

国会、新副首相2人と大臣3人を承認 初の女性副首相が誕生 (6:29)

 国会は25日、2021~2026年任期の人事案として副首相2人と大臣3人の承認に関する決議を採択した。副首相には、内務相のファム・ティ・タイン・チャー氏と、南中部地方ザライ省共産党委員会の書記を務めたホー・...

チン首相、ASEAN関連首脳会議出席のトランプ米大統領と会見 (5:40)

 マレーシアの首都クアラルンプールで26日、第47回東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が開幕した。ベトナムのファム・ミン・チン首相は同日、関連会合に出席するため、マレーシアを訪問した米国のドナルド・トラ...

サイゴン動植物園にそびえ立つ樹齢160年・高さ62mの大木 (26日)

 ホーチミン市サイゴン街区(旧1区)のサイゴン動植物園には、樹齢160年余り、高さ62mの「サークー(xa cu)」の木がそびえ立つ。学名は「カヤ・セネガレンシス(Khaya senegalensis)」で、ムクロジ目センダン科カヤ...

リンガーハット、ベトナム初の直営店舗をホーチミンにオープン (5:30)

 長崎ちゃんぽん専門店「リンガーハット」やとんかつ専門店「とんかつ浜かつ」などの飲食店の運営を手掛ける株式会社リンガーハット(東京都品川区)は10月28日、「リンガーハット」のベトナム初の直営店舗「リン...

第28回日ASEAN首脳会議開催、経済関係強化へ (4:54)

 マレーシアの首都クアラルンプールで26日午後、第28回日ASEAN首脳会議が開催され、ベトナムからはファム・ミン・チン首相、日本からは高市早苗内閣総理大臣が出席した。  日・ASEAN協力について、高市首相...

第3回アジア・ゼロエミッション共同体首脳会合、協力の進捗に期待 (4:49)

 マレーシアの首都クアラルンプールで26日午後、第3回アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳会合が開催され、ベトナムからファム・ミン・チン首相が出席した。会合は、高市早苗内閣総理大臣とマレーシアのア...

Orient Human Design、ホーチミン市オープン大学と覚書締結 (3:58)

 人材・インターンシップ事業を手掛けるOrient Human Design株式会社(神奈川県横浜市)はホーチミン市オープン大学(HCMOU)で17日、日本における国際インターンシップに関する覚書(MOU)を締結した。  今回の覚...

貿易大学傘下VJCCとトヨタベトナム、サプライヤー育成で協力 (3:53)

 ハノイ市の貿易大学(FTU)傘下のベトナム日本人材開発インスティチュート(VJCC)とトヨタ・モーター・ベトナム(TMV)は23日、ベトナムにおける裾野産業の発展に貢献することを目的として、ベトナム企業のサプライ...

「Inno Vietnam-Japan Meetup」、ホーチミンで11月7日開催 (2:10)

 日本貿易振興機構(ジェトロ)ホーチミン事務所は、11月7日(金)のベトナム時間14時00分から17時00分まで(日本時間16時00分から18時00分まで)、「日本の脱炭素化技術」をテーマに、日越企業とエコシステム関係者が...

第14回共産党全国大会、26年1月19日に開幕 (27日)

 ベトナム共産党中央宣伝委員会は、第14回共産党全国大会を2026年1月19日から25日までの7日間にわたって開催すると発表した。共産党全国大会は5年に1度開催される。  党大会では、◇政治報告、◇過去40年間の...

JOGMECとENEOS、ベトナムでCCS事業推進へ 協力覚書締結 (27日)

 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC、東京都港区)とENEOS Xplora株式会社(東京都港区、旧社名:JX石油開発株式会社)は17日、ペトロベトナムグループ(PVN)と第2ギーソンパワー(Nghi Son 2 Power)...

ベトナム・米国、貿易協定に関する共同声明 相互関税率20%維持 (27日)

 ベトナムと米国は26日、相互的で公正かつ均衡の取れた貿易協定の枠組みに関する共同声明を発表した。両国はまた、今後も相互課税に関する交渉を継続し、関税上の障壁を段階的に解消していくことで一致した。...

アンザン省:フーコック都市鉄道案件を承認、投資総額520億円 (27日)

 南部メコンデルタ地方アンザン省人民評議会は24日、同省フーコック島(旧キエンザン省)で計画されているフーコック都市鉄道案件(第1期)の投資方針を承認した。  投資総額は約9兆VND(約520億円)で、うち70%...

ハノイ:タムアイン総合クリニックが開業、市内最大規模 (27日)

 タムアイン総合病院は22日、ハノイ市カウザイ街区で市内最大規模の総合クリニックを開業した。  同クリニックは面積約1万7000m2で、診察室200室余りを備える。1日あたり最大3000人の患者を受け入れることが...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved