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華人系不動産大手VTPを巡る違反事件、主犯格のラン会長に死刑求刑

2024/03/20 17:06 JST配信
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  • 被告86人の求刑発表、ラン被告に死刑求刑
  • SCBの元役員3人には終身刑求刑
  • ラン被告の夫と姪には禁固刑求刑

華人系不動産大手VTPグループ(Van Thinh Phat Group)の違法社債発行や、VTPと密接なコネクションがあるサイゴン商業銀行(SCB)による銀行業務違反など一連の事件の裁判で、ホーチミン市人民検察院は19日、被告86人の求刑を発表した。

 同事件は、VTP会長のチュオン・ミー・ラン被告(女・68歳)が、経営支配権を掌握していたSCBを介して国民や企業から資金を調達し、不動産投資などの名目でSCBにVTP系列企業向けの違法融資を行わせ、同行に多額の被害をもたらしたというもの。

 主犯格のラン被告について、検察側は「組織的犯行で、被害額が非常に大きい。反省の意を示さず、部下に責任を押し付け、捜査にも協力的ではなかった」とし、◇資産横領罪で死刑、◇金融機関における融資規定に違反した罪で禁固19~20年、◇贈賄罪で禁固20年を求刑した。

 SCBのディン・バン・タイン元会長、ブイ・アイン・ズン元会長、ボー・タン・ホアン・バン元頭取の元役員3人は終身刑を求刑された。また、SCBの調査を統括し、収賄罪に問われていたベトナム国家銀行(中央銀行)第2調査監視局長のドー・ティ・ニャン被告(女・58歳)も終身刑の求刑だった。ニャン被告が賄賂として受け取った額は520万USD(約7億9000万円)に上った。

 ラン被告の夫で中国(香港)国籍のチュー・ナップ・キー・エリック(Chu Nap Kee Eric)被告は、金融機関における融資規定に違反した罪で禁固11~12年、ラン被告の姪で養女でもあるチュオン・フエ・バン被告は資産横領罪で禁固19~20年の求刑だった。他の被告は執行猶予付き禁固3年~禁固24年の求刑となっている。

 ラン被告は2011年、◇SCB、◇ティンギアバンク(Tin Nghia Bank) 、◇フィコムバンク(Ficombank)が統合する形で誕生した新生SCBの経営支配権を掌握。SCBの資本金は2012年1月1日時点の10兆VND(約610億円)から15兆VND(約920億円)に引き上げられた。

 ラン被告は逮捕までに複数の個人・企業の名義を介してSCB株85.0~91.5%を保有。SCBの経営には直接参加していなかったが、側近らがSCBの要職を務めていた。残るSCB株は小口株主約4000人が保有していた。

 VTPは国内外にペーパーカンパニーを設立する形で1000社以上の系列企業を保有し、ラン被告の指示のもと、SCBは担保資産を審査せずにVTP系列企業に違法融資を繰り返し実施した。

 結果、VTP系列企業は債務不履行となり、SCBは多額の不良債権を抱えることになった。検察側によると、融資金や利息などを含め、被告らによってSCBが負うことになった担保資産相殺後の被害総額は498兆VND(約3兆0400億円)に上る。

 SCB構造改革の一環として、中央銀行は2017年から2018年にかけてSCBの全面調査を実施すべく、組織横断調査チームを発足し、ニャン被告がチームのリーダーを務めた。調査チームは、SCBの債務超過、SCBでのラン被告の実際の保有率、VTP系列企業に対するSCBの違法融資を発見したにもかかわらず、賄賂を受け取ることで見て見ぬふりをした。

 この際、調査チームが不良債権などSCBの財務データを改ざんして調査結果を操作したため、中央銀行はSCBの実態を把握できず、ラン被告らの違反を早期に阻止することができなかった。

 なお、摘発を受け、2022年10月にタンベト証券(TVSI)の会長 兼 社長でSCB取締役を務めていたグエン・ティエン・タイン氏(男性・当時49歳)など、事件に関与したとされる複数人が急死し、多くの預金者がSCBに殺到するなど混乱が起きた。SCBは2022年10月から特別監視措置を受けており、中央銀行によると、SCBの状況は制御下にあり、徐々に安定しつつあるという。

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