![]() (C) Miwa ARAI |
ヨックドン国立公園の決断
2018年7月、ベトナムの南中部高原地方ダクラク省と同ダクノン省にまたがるヨックドン(Yok Don)国立公園は、この象乗りをやめた。
ゾウの主要な生息地であるこの森林は、ベトナム第二の広さがあり(*6)、園内には象乗り施設もあった。ゾウは、この地方の文化であり主要な観光ツールでもある。激減する野生象、劣悪な環境で繁殖しない使役象、こうした状況に危機感を抱いたベトナム当局は、この国立公園内での象乗りサービスを止め、ゾウを保護しながら観光と両立させる、新しい方策を打ち出したのだ。
2018年10月に始まった“象体験(エレファント・エクスペリアンス)”。 国際動物保護団体アニマルズアジアが支援・助言するこのツアーでは、誰もゾウに乗らないし触らない、餌やりもない。森は整備され、元象使いらは研修を受け、ゾウのケア係として雇用されている。
「この国立公園で象乗りに使われていた4頭が森へ戻り、自ら餌を探し自由に生きています。見学者は森を散策しながら、自然の中で彼らがどのように行動しているのかをそっと観察します。彼らを脅かすことのないよう、見学グループは5人までで、ゾウと森をよく知る現地の少数民族であるエデ族のガイドが歩いて森を案内します。ゾウの行動を決して邪魔しない、エレファント・ファーストに徹した、ベトナムで初めての試みです」(アニマルズアジア 動物福祉マネージャー ディオンヌ・スラグターさん)。
*6:11万5千haの広さの森林で、カンボジア国境に接する。二国の比較的広い保護域を移動できることで、ベトナムに残る野生象のほとんどがこの国立公園内に生息している。
右:ディオンヌ・スラグター(Dionne Slagter)さん(国際動物保護団体アニマルズアジアの動物福祉マネージャー)。
左:象ケア係のムクドー(Y Muc Kdoh)さん。
ヨックドン国立公園の試みはベトナム初で唯一。
【Text & Photo by Miwa ARAI(ライター)】
後編へ続く~象体験(エレファント・エクスペリアンス)ツアー、森へ帰ったゾウ~
・ ダクラク省:観光客向け「象乗りツアー」終了、「ゾウに優しい観光モデル」へ (2023/02/10)
・ ダクラク省:ゾウを森へ、飼育家族が保護団体へ引き渡し (2023/01/16)
・ 北タイグエン地方で飼育していた最後の象、老衰で死亡 (2020/12/07)
・ ダクラク省:象乗りツアーから「ゾウに優しい観光モデル」に転換へ (2020/11/16)
・ クアンナム省:野生のゾウが無事出産、保護区に生息 (2020/04/16)
・ ダクラク省:国内初の「助産師」ゾウ、59歳で死去 (2019/12/17)
・ <明日は明日の試合がある>フィリップ・トルシエ(元サッカー日本代表監督) ベトナムで育成世代にサッカー全力指導中【後編】 (2019/08/18)
・ <明日は明日の試合がある>フィリップ・トルシエ(元サッカー日本代表監督) ベトナムで育成世代にサッカー全力指導中【中編】 (2019/08/11)

から



)
)
)
)
)


)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)
)













