ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

ベトナム映画「第三夫人と髪飾り」アッシュ・メイフェア監督インタビュー

2019/09/29 06:00 JST配信
© copyright Mayfair Pictures.
© copyright Mayfair Pictures. 写真の拡大

―――やはり海外に出られて気付いたということですよね。

はい。外に出てそれに気が付いたということもあるのですが、同時に、これは私の家族だけの話ではないということにも気が付きました。多くの人が、映画を観た後に「実は私の祖母が第三夫人だったんです」とか、「母親が家族の決めたお見合いで強制的に結婚させられたんです」っていう話をしてくれるんです。この映画で70以上の映画祭をまわったのですが、上映後に質疑応答をすると必ず観客の中の女性が似たような話をしてくれて。「まるで自分の家族を見ているようでした」と言ってくれる人が多かったんです。

―――もう1つ、映画ではベトナムの風景や文化がものすごく美しく描かれているのですが、これも監督が外へ出られて見直した、気付いたことであり、誇らしい文化として描きたかったことの1つなのではないでしょうか。

そうですね。私は自分の国を非常に誇りに思っていますし、特にこの風景に恋をしているんです。ベトナム北部は私の祖父母の故郷なのですが、とても美しく、恋に落ちたように思っている一方で、自分がアーティストとしてベトナムという国に対するときに、複雑な部分もあります。

ベトナム文化は愛しているのですが、ベトナムにおける女性の扱われ方に対する伝統は女性に不公平だったので、私はそれは好きではないんです。私の作品にはベトナムにおける女性の扱いについて取り上げているものが多いのですが、その中で、文化は愛しているんだけれども女性あるいはベトナム人が扱われてきた歴史というものは嫌っている、という緊張感があります。

―――先ほどキャスティングのお話がありましたが、もともと主役のチャー・ミーさんは別の役にあてられていたとうかがいました。そうした中で、900人の中から彼女を主役に抜擢した一番の決め手は何だったのでしょうか。

そうさせられたんです(笑い)!オーディションするときに、こういう役なんですよ、これだけ大変なことをするんですよということを本人と家族に説明したんですね。家に帰った後、彼女がお母さんに「私、この役をやりたい」と言ったそうなんです。というのは後でお母さんから聞いたのですが。お母さんが「これはとっても大変なのよ。山に何か月も閉じこもって、ものすごくたくさんお仕事をしないといけないし、あなたこんなことやったことがないでしょう」と言ったら、彼女が机を叩いて、「何で信用してくれないの!」と。「この役は私のためにあるのよ!」というようなことを言って、私に電話をくれたんですね。

私に電話をくれて、「この役は私のためにあります。私がやりたいです」と言ったんです。13歳の女の子がそれほどの勇気と強さを持って、自分が信じているものに立ち向かうことができる。これ以上の子は見つからないなと思って、彼女にしました。

© copyright Mayfair Pictures.

―――トラン・アン・ユン監督が美術監修ということですが、どのようなコラボだったのでしょうか。

撮影の3年前に、ベトナムの若い映画監督向けのワークショップ(オータム・ミーティング=Gap Go Mua Thu)で出会いました。なので、彼とは師弟関係にあったのですが、「実は今、自分の家族の話で脚本を書こうと思っていて…」とこの映画の話をしたんです。彼とはいろいろな話し合いをし、そのプロセスの中でとても大切なことを彼から教わりました。「この映画という媒体に対して、自分が一番真実だと思うものは何か、美しいと思うものは何か、ということを常に自分に問い続けなさい」と言われたんです。

それはつまり、自分にとってシネマとは何かを問い続けろ、ということだと思うのですが、イメージをつなげていって何を伝えたいのか、ということを言われ、私の目が開かれました。哲学的な挑戦を受けたような気がするのですが、監督としてどのような決断をするときにも、何が真実なのか、何が美なのかということを常に考えなければいけない。それがあらゆる決断の核にある、ということを教わったんですね。まだ私はそれに対する答えを持ち合わせていませんが、何十年かしたら、監督として決断するときの炎が強くなって、すぐに真実や美に至るものを選べるようになっているといいのですが。

前へ   1   2   3   4   次へ
[2019年9月6日 ベトジョーニュース/A-TIM’s A].  © Viet-jo.com 2002-2026 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
第14回ベトナム共産党全国大会、ハノイで開幕 (6:42)

 第14回ベトナム共産党全国大会が20日、ハノイ市国家会議センターで開幕し、全国の党員560万人を代表する1586人が出席した。党全国大会は25日まで行われる。  開幕式は20日午前8時から行われ、ベトナム国営...

ホーチミン:新春フラワーロード、昼夜で異なる2演出を初展開 (6:08)

 ホーチミン市のテト(旧正月)名物であるサイゴン街区(旧1区)歩行者天国グエンフエ(Nguyen Hue)通りの「フラワーロード」は2026年、昼と夜で異なる2つの演出を同一空間で初めて展開する。  2026年で23年目を...

ベトナム映画協会主催のカイトアワード、「Mua Do」が3冠 (5:40)

 ハノイ市でこのほど、ベトナム映画を表彰するベトナム映画協会主催の「カイトアワード2025(Kite Awards 2025)」の表彰式が開催された。  今年のカイトアワードでは、映画やドラマなど164作品を対象に審査が...

逆境から花開く芸術、障がい者が描くペーパークイリングアート (18日)

 芸術に心の拠り所を見出してきたという障がい者は少なくない。彼らは天賦の才能と粘り強さを生かして個性豊かな手工芸品を生み出し、生計を立てながら、地域社会に貢献できる人生を送りたいという願いを持ち続...

ベトジェットエア、ハノイ~静岡線を4月28日就航 (5:00)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は4月28日、ハノイ市と静岡県を結ぶ国際線を就航する。  同路線は週3往復(火・木・日)の運航となる。出

25年12月の新設外資企業336件、前年同月比+6%増 (4:59)

 各省・市の計画投資局のデータによると、2025年12月に全国で新規設立された外資企業および支店、営業所、駐在員事務所の数は前月比+4.4%増、前年同月比+6.3%増の336件で、うち会社が319件、営業所が13件、支...

ダイナム大学、ベトナム初のeスポーツ学部設立 韓国企業と提携で (4:54)

 ダイナム大学(ハノイ市)はこのほど、eスポーツやゲーム、ショーを網羅したマルチエンターテインメントサービスを提供する韓国企業KdKOOとの間で、ベトナム初となるeスポーツ学部の設立に関する事業提携契約を締...

エアアジア、マニラ~ベトナム間の2路線を3月20日就航 (3:51)

 格安航空会社(LCC)エアアジア・フィリピン(AirAsia Philippines)は、3月20日にフィリピンの首都マニラと、ベトナムのハノイ市およびダナン市を結ぶ新路線を就航させる。  両路線は、いずれも週4便(月・水・...

キャステム、ベトナム工場を竣工 グループ最大規模の生産拠点へ (2:54)

 精密金属部品メーカーの株式会社キャステム(広島県福山市)およびキャステムグローバルグループのキャステムベトナム(CASTEM VIETNAM、東北部地方クアンニン省)は19日、クアンニン省のアマタシティ・ハロン工業...

25年の水産物輸出、自然災害など逆風下も過去最高113億USD (20日)

 2025年の水産物輸出額は前年比+12~13%増の約113億USD(約1兆8000億円)となり、過去最高を更新した。世界貿易を巡る不透明感や、洪水などによる国内での自然災害、主要市場における規制強化といった逆風の中で...

ホーチミン:韓国企業のベトナム人労働者、平均収入は月5.8万円 (20日)

 ホーチミン市労働連盟によると、2025年末時点で同市に進出している韓国企業は308社で、9万7000人余りのベトナム人労働者を雇用している。このうち女性が5万4000人余りとなっている。  同市の韓国企業に勤務...

新規事業登録の中小企業に3年間の法人税免除を適用 (20日)

 政府はこのほど、民間経済の発展に向けたメカニズムおよび特別政策に関する決議第198号/2025/QH15を具体化する政令第20号/2026/ND-CPを公布した。  同政令によると、新規事業登録を行う中小企業は、初回の...

ハノイ:第14回共産党全国大会で一部通りが交通規制 (20日)

 ハノイ市警察は、第14回共産党全国大会の開催期間中の1月19日(月)~25日(日)に市内一部道路の通行を規制すると発表した。  通行禁止の時間帯は、◇午前6時~8時、◇午前10時30分~11時30分、◇午後1時~2時、◇...

第14回ベトナム共産党全国大会、初日の準備完了 20日に開幕式 (20日)

 ベトナム共産党の第14回全国大会が19日に首都ハノイ市で始まった。初日の19日は準備日となった。同日には党員らが、故ホー・チ・ミン初代国家主席廟を参拝したほか、英雄烈士記念碑で献花・焼香を行い、祖国の...

トランプ大統領、ベトナムをガザ平和評議会の創設メンバーに招請 (20日)

 米国のドナルド・トランプ大統領は16日、ベトナム共産党のトー・ラム書記長宛てに書簡を送り、パレスチナ自治区ガザ地区の和平計画に基づいて暫定統治を指揮する国際機関「平和評議会」の創設メンバー国として...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2026 All Rights Reserved