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日常と観光のはざまに生きる、ハノイの線路脇の暮らし

2019/10/20 05:49 JST配信
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 ザウさんは、引っ越してきたばかりの頃は列車が通過するのが恐ろしく、列車の音を聞くと頭痛がしていたが、数年で慣れてしまったという。「慣れてしまえば、ここでの暮らしも他の人と同じ普通の生活です。犬や猫もすっかり慣れていて、普段はレールの上で日向ぼっこをしたり走り回ったりしていますが、列車が通過するときには家の中に入りますよ」とザウさんは笑いながら教えてくれた。

 ザウさんの家からおよそ20m先の通りの向こうは、植物でいっぱいのクアンさんの家だ。午後になると、クアンさんはよくベランダの椅子に腰掛け、線路を眺めながら、ラジオから流れる昔の歌を聴いている。「ここに住んで30年近くになります。かつてここに住む人は少なく、とても寂しかったのですが、多くの若者がここで店を開き、家の壁に絵が描かれ、とても楽しくなりました」とクアンさん。

 午後の鉄道街は賑やかだ。子供たちは線路沿いで追いかけっこをして走り回り、女性たちは家の外で夕飯の支度をする。線路脇に建つ家は狭いため、各家庭は料理やしやすいように水道や小さなガスコンロ、練炭を屋外に置いて使っている。

 ここに住んでいるアンくんは、線路のすぐ脇で母親と姉に身体を洗ってもらうのが日課だ。アンくん一家は線路脇に建つ面積15m2 の古い平屋を借りて住んでいる。2年前、隣でカフェを開いた数人の若者が、アンくんの家の壁にも絵を描いてくれた。しかし、アンくんの家族はじきに数年住んだこの小さな借家を出て、新しい場所に引っ越さなければならないという。家主が古い家の改修工事を始めるのだ。

 夜の22時、ハノイ駅を出発した最終列車がここを通過すると、線路脇の鉄道街はもとの静けさを取り戻す。観光地として注目を集めたこのエリアだが、ここに暮らす人々の生活は変わらずシンプルで平穏さを保っている。

 線路脇の店の営業が停止されたことで、一部の旅行業の関係者や鉄道ファンからは「ハノイ市の名物がまた1つ消える」、「観光の促進に大きく貢献した」などと残念がる意見も出ている。しかし、ハノイ市当局は観光客にとっても鉄道側にとっても非常に危険だとの強い態度を示し、パトロール隊を配置したり、英語とベトナム語の標識を立てたりして対策に取り組んでいる。

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