ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

第2回「ベトナム日本国際ユースカップ U-13」開催記念、トルシエ監督&井尻監督によるスペシャル対談

2019/12/14 05:00 JST配信
(C) Miwa ARAI
(C) Miwa ARAI 写真の拡大

『理想とする育成』

井尻:日本人の特徴で良いものの一つとして、いろいろな国の良いところを積極的に取り入れようとする点があります。日本サッカーは、ブラジル、スペイン、フランス、ドイツなどの影響を受けながら成長してきました。サッカー以外でも高度経済成長時代には、他国の良いところを取り入れてきた歴史があります。

 日本サッカーは2019年現在、日本人の森保一監督が代表監督を務めるようになり、ようやく自分たちのスタイルを探り始める時期に来ています。ですので、日本にとっての理想の育成というのは、まだ存在しないのかなと思っています。ヨーロッパの強豪国には、それこそ何百年という歴史があるわけで、それぞれの国が適した独自の育成システムを持っています。日本はそこには到底及ばないですし、まだ本当の理想には辿り着けていないのが現状です。どれか一つの方法が正しいということではなく、それぞれに正解があるのだと思っています。

トルシエ:私はこれまでに、いろいろな国で働いた経験がありますが、日本では学校の部活動が非常に盛んで、レベルも非常に高いです。部活動のサッカーは学校生活の中にあります。フランスなどでは、子供たちがサッカーをするのはクラブチームであり、学校ではありません。個人的にですが、日本の育成スタイルがとても好きです。

井尻:日本では近年、かつて部活動中心だった育成から移り変わりがあって、フランスのINFをモデルにしたJFAアカデミーを作ったり、最近だと、スイスやスペイン、ドイツのやり方を取り入れるなど試行錯誤している状況で、どんな方針が日本に適しているのかという迷いを感じながらやっています。

トルシエ:INFは私が指導者として初めて働いた育成機関です。U-15フランス代表を指導して、当時の教え子には、後にフランスを代表するストライカーになったジャン=ピエール・パパンがいました。個人的な意見ですが、INFなどの育成システムは日本には適さないと思っています。フランスではサッカーに注力している学校というのは存在しません。必然的にエリートたちの才能を育てるにはクラブやINFのような機関が必要になります。現在、私が働いているベトナムのPVFもINFと同じような育成機関で、ここには全国から優秀な子供たちが集まってきます。一方、日本はもっと良い環境にあると考えます。なぜなら、部活動の質が高く、フランスのクラブにも匹敵するからです。日本にINFのようなシステムがなぜ合わないかというと、子供時代からずっと家族と一緒に暮らす文化があるので、子供は親元を離れたがらないと思います。個人的にはそういった文化をリスペクトしています。日本の学校では、多くの子供が何らかの部活に入っているので、わざわざ他のクラブに行かずとも教育を受けながら、それぞれの才能を育てることが可能です。このような話は20年前にも日本側に伝えたことです。

【関連記事】

川崎フロンターレ「第3回ベトナム日本国際ユースカップU-13」に向けた選抜チームのセレクション概要を発表 (2020/10/16)
元日本代表監督トルシエ氏(現U-19ベトナム代表監督)、日本サッカー殿堂入り (2020/09/16)
第2回「ベトナム日本国際ユースカップU-13」大会1日目レポート、初日から白熱した試合が続く (2019/12/26)
第2回「ベトナム日本国際ユースカップU-13」がビンズオンで12月20日開幕 (2019/12/13)
<明日は明日の試合がある>フィリップ・トルシエ(元サッカー日本代表監督) ベトナムで育成世代にサッカー全力指導中【後編】 (2019/08/18)
<明日は明日の試合がある>フィリップ・トルシエ(元サッカー日本代表監督) ベトナムで育成世代にサッカー全力指導中【中編】 (2019/08/11)
<明日は明日の試合がある>フィリップ・トルシエ(元サッカー日本代表監督) ベトナムで育成世代にサッカー全力指導中【前編】 (2019/08/04)
サッカー女子ベトナムのアンダー世代代表に日本人監督が就任 (2019/05/15)

前へ   1   2   3   4   5   次へ
[2019年12月14日 ベトナムフットボールダイジェスト].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
世界とアジアのベストレストラン25年版、ベトナムから多数選出 (1日)

 世界最大の旅行プラットフォーム「トリップアドバイザー(Tripadvisor)」は、トラベラーズチョイスアワードの「ベスト・オブ・ザ・ベスト・レストラン」2025年版を発表した。  「高級店」部門で、ハノイ市の...

コンダオ島:ピンクの目をしたアルビノのウミガメ17匹を放流 (1日)

 ホーチミン市コンダオ特区のコンダオ国立公園はこのほど、非常に珍しいアルビノのウミガメ17匹の孵化に成功し、海へ放流した。  すべてコンダオ諸島のホンカウ島の1つの巣穴にあった卵78個から生まれたもの...

フーコック:海上ショー「シンフォニー・オブ・ザ・シー」毎日開催 (1日)

 南部メコンデルタ地方アンザン省フーコック特区(島)にある観光地「サンセットタウン・フーコック(Sunset Town Phu Quoc)」では、11月1日から毎日午後7時50分から20分間、フライボードとジェットスキーによる海...

サイゴン動植物園にそびえ立つ樹齢160年・高さ62mの大木 (10/26)

 ホーチミン市サイゴン街区(旧1区)のサイゴン動植物園には、樹齢160年余り、高さ62mの「サークー(xa cu)」の木がそびえ立つ。学名は「カヤ・セネガレンシス(Khaya senegalensis)」で、ムクロジ目センダン科カヤ...

シンガポールとベトナム、コメ貿易で協力 覚書締結 (10/31)

 韓国で開催中のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に併せて、グエン・ホン・ジエン商工相とシンガポールのグレース・フー持続可能性・環境大臣 兼 貿易担当大臣は30日、両国間のコメ貿易の協力に関する覚...

カンボジアでベトナム人59人逮捕、ベトナム人8000人が被害 (10/31)

 西北部地方ライチャウ省警察は28日、公安省刑事警察局やカンボジア当局と協力し、カンボジア国内でベトナム人が運営する詐欺ルートを摘発した。容疑者らは、ベトナム国内のベトナム人を狙って詐欺行為を働いて...

駐重慶ベトナム総領事館を開設、中国西部地域との連携強化 (10/31)

 中国の重慶市で29日、駐重慶ベトナム総領事館の開設式典が行われた。式典には、中国側から重慶市長の胡衡華(フー・ホンホワ)氏ら、ベトナム側から駐中国ベトナム大使のファム・タイン・ビン大使らが出席した。 ...

メガネのJINS、ホーチミンに本格進出 11月に3店舗オープン (10/31)

 アイウエアの企画・製造・販売・輸出入などを手掛ける株式会社ジンズホールディングス(JINS、東京都千代田区)グループのジンズ・ベトナム(JINS Vietnam、ホーチミン市)は、11月8日のベトナム1号店を皮切りに、...

ビンGとブオン会長一家、映画制作会社「V-フィルム」を設立 (10/31)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)のファム・ニャット・ブオン会長は9月末、映画制作会社「V-フィルム(V-Film)」を設立した。  新会社

ベトナム航空、11月3日から搭乗ゲートで機内手荷物の超過料金徴収 (10/31)

 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は、11月3日から搭乗ゲートで機内持ち込み手荷物の超過料金を徴収すると発表した。超過手荷物料金に関する新規則により、運航上の安全とサービ

ベトナムと英国、包括的・戦略的パートナーシップに関係格上げ (10/31)

 英国現地時間29日午後(ベトナム現地時間30日未明)、同国を公式訪問中のトー・ラム書記長と英国のキア・スターマー首相は会談を行い、両国関係を包括的・戦略的パートナーシップに格上げする共同声明に署名した...

中部の大規模洪水、18人死亡・行方不明 河川で歴史的水位を記録 (10/31)

 中部を襲った豪雨と洪水により、30日午前7時までに10人が死亡し、8人が行方不明となっているほか、22人が負傷した。  51軒の家屋が倒壊・流失し、122軒が損壊、12万8024軒が浸水した。  南中部地方ダナ...

スタンチャート銀、25年GDP成長率予想を+7.5%に上方修正 (10/31)

 英スタンダードチャータード銀行(Standard Chartered Bank)は、ベトナムのマクロ経済に関する最新レポートの中で、2025年におけるベトナムの国内総生産(GDP)成長率予想を+6.1%から+7.5%に上方修正した。また...

25年1~10月期の海外派遣労働者数12.1万人、日本向けが最多 (10/31)

 内務省傘下の海外労働管理局(DOLAB)の発表によると、2025年1~10月期にベトナムから海外に派遣された労働者数は12万1190人で、年間計画の93.2%に達した。2025年通年は、目標の13万人を上回る見通しだ。  ...

ベトジェットとオックスフォード大学、ネットゼロの研究成果発表 (10/31)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)と英国オックスフォード大学はこのほど、英国を公式訪問したトー・ラム書記長の立ち会いのもと、航空業界におけるネット

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved