ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

1年に2度も宝くじで大当たりした男性の悲劇、片腕失い生きる今

2020/08/16 05:06 JST配信
(C) vnexpress
(C) vnexpress

先の幼馴染のギアさんは教えてくれた。「トアンさんが麻薬中毒症状から抜けたばかりの頃は、私も近所の人々も彼が人生をやり直そうとしていることが信じられませんでした。当時、彼は仕事をとても頑張っていて、健康のために運動を欠かしませんでした。そのような生活を3年ほど続けて、ようやく皆のトアンさんを見る目が変わってきたのです。トアンさんは宝くじに当たった時から仕事をしない遊び人と見なされ、麻薬をやめてからようやく働き始めました。その点でも、麻薬を断つことが彼の人生を変えたのです」。

 水の配達の仕事のため、トアンさんは三輪バイクを購入した。通常、配達にかかる費用は1回1万VND(約46.5円)だが、トアンさんは5000VND(約23円)しか受け取らなかった。トアンさんは片腕しかないため他の人と同じようなスピードで仕事をすることができず、もし他の人と同じ金額を受け取ってしまえば雇ってもらえないだろうとの考えからだった。

 1998年、トアンさんはビンズオン新聞の「友人募集」コーナーに登録し、人生のパートナーを見つけることができた。サイゴン出身でトアンさんより17歳年下のレ・タイン・トゥイさんと知り合ってから数か月後に結婚し、22年間の結婚生活で一男一女を授かった。

 「私の人生は弓矢のようで、後ろに引っ張られるとようやく前に進む力が出ました。それでも自分は幸運だと思っています。麻薬中毒だった10人以上の友人たちは皆死んでしまい、生きているのは私だけですから」とトアンさんは笑いながら言う。

 トアンさん一家は収入を補うために昨年から家の前の土地を貸すようになり、現在はテントとテーブル・椅子、食器などの備品をレンタルする仕事で生計を立てている。トアンさんは、別れた妻と子供の生活に影響が出ることを心配し、2人を探すつもりはないという。トアンさんが現在最も大切にしているのは、新しい家族との落ち着いた生活だ。そして中学2年生(日本の中学1年生)になる末娘の世話をするために、自身の健康には気をつけている。

 かつて宝くじの賞金で建てられた家は今まで一度も修理されていない。トアンさんはこれまでの人生に後悔はなく、自身を責めることもないといい、それは各々の運命だったのだと考えている。「幸いにも、家を建てるために父がこの土地を購入してくれました。もし宝くじの賞金が全て私の手にあったなら、今この家はないでしょう」とトアンさんは話した。

 そして、トアンさんが生まれ育ったフークオン街区第4町内会長のグエン・タイン・ソンさんはこう教えてくれた。「この4年間、トアンさん夫妻は1月の元宵節でバーティエンハウ(Ba Thien Hau)寺を訪れる参拝客に対し、無料でサトウキビジュースを提供しています。トアンさんは裕福ではないかもしれませんが、良心を持った人です」。

前へ   1   2   3   4   次へ
[VnExpress 05:05 10/07/2020, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
デジタル技術産業法を可決、デジタル資産とAIの法的根拠を制度化 (18:59)

 国会は14日、デジタル技術産業法を賛成多数で可決した。同法は2026年1月1日に施行される。これにより、デジタル資産と人工知能(AI)に関する法的根拠が初めて制度化された。  同法の対象となるデジタル資産...

国会、改正特別消費税法を可決 加糖飲料も対象に (17:54)

 国会は、改正特別消費税法を賛成多数で可決した。同法は2026年1月1日に施行される。  同法によると、加糖飲料については、ベトナム国家基準における清涼飲料水の定義に該当し、糖分が100mLあたり5gを超える...

国会、憲法改正の決議採択 7月1日から地方自治体を2層構造に移行 (17:31)

 国会は16日、憲法の一部条項を改正・補足する決議を採択した。同決議は即日施行された。  決議によると、地方自治体は6月30日をもって郡レベルの行政区(省・中央直轄市傘下の市、区=quan、郡=huyen、町=...

世界のベトナム人街を訪ねて【プラハ編・後編】 (15日)

(※本記事はVIETJOベトナムニュースのオリジナル記事です。) 【ロンドン編】はこちら 【パリ編】は

ホーチミン、米AMDとAI・ハイテク協力促進で覚書 (15:59)

 ホーチミン市人民委員会は12日、半導体設計大手の米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(Advanced Micro Devices=AMD)との間で、技術協力に関する覚書を締結した。式典にはチャン・ホン・ハー副首相も出席した...

ベトナム政府、国家戦略技術32分野を公表 AI・バイオ医療など (15:45)

 ファム・ミン・チン首相は12日、国家の戦略的技術および戦略的技術製品に関するリストを定める決定第1131号/QD-TTgに署名した。  今回の決定では、国家の持続的な発展と技術革新を推進するための、10の戦略...

ベトナムAI産業のGDP貢献、40年までに最大1300億USD規模に (14:41)

 財政省傘下のベトナム国家イノベーションセンター(NIC)が国際協力機構(JICA)およびボストン・コンサルティング・グループ(BCG)と協力して発表した報告書「ベトナム人工知能(AI)経済2025」によると、AI産業は今...

信頼性の高い保険会社トップ10、バオベトが生保部門で首位キープ (13:57)

 ベトナム評価レポート社(ベトナムレポート=Vietnam Report)は、2025年における信頼性の高い保険会社トップ10を発表した。この中で、バオベトグループ[BVH](Bao Viet Group)は生命

クオン国家主席、越訪のリトアニア大統領と会談 (6:09)

 ルオン・クオン国家主席は12日、リトアニアのギターナス・ナウセーダ大統領と会談した。1992年の外交関係樹立以来、同国大統領がベトナムを公式訪問したのは今回が初めて。  両首脳は会談で、今回の公式訪...

7月1日施行の社会保険法、加入対象者を拡大 外国人関連規定も (6:01)

 2024年社会保険法(法律第41号/2024/QH15)が、2025年7月1日に施行される。これは2014年社会保険法(法律第58号/2014/QH13)に置き換わるもので、社会保険の加入対象者が拡大される。  2024年社会保険法では、...

個人事業主への電子請求書義務化、飲食店が便乗で一斉値上げ (5:41)

 6月以降、ホーチミン市やハノイ市にある多くの飲食店で、ブン、フォー、バインミーなどの価格が一斉に引き上げられている。店主らは値上げの主な理由として、「納税義務の発生」を挙げている。  店主らは、...

ベトコムバンク、東南アジアの有力ブランドトップ30に初選出 (5:17)

 英市場調査会社カンター(Kantar)が発表した「東南アジアのブランド価値トップ30ランキング」2024年版で、ベトコムバンク[VCB](Vietcombank)がベトナム企業として唯一ランクインを果

畜産大手CPベトナムの「病畜の肉」流通疑惑、違反の3店舗に罰金 (5:00)

 タイ系畜産大手CPベトナム(CP Viet Nam)が病気の豚や鶏の肉を販売していたとソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で告発されたことを受け、南部メコンデルタ地方ソクチャン省農業環境局は11日、検査...

ベトナム航空、スカンジナビア航空と提携 北欧路線の接続強化 (4:47)

 全日空ANAが出資するベトナムのフラッグキャリアであるベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は13日、スカンジナビア航空との間で、ベトナムと北欧(デンマーク、ノルウェー、スウェ

ダナン:半導体研究開発ラボ建設を承認、投資総額98億円 (3:07)

 南中部沿岸地方ダナン市人民委員会は、半導体向け先端パッケージング技術の研究開発(R&D)を目的とした実験施設プロジェクトへの投資方針を承認した。  プロジェクトの投資主は、半導体や人工知能(AI)分野の...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved