ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

映画「ドクちゃん−フジとサクラにつなぐ愛−」日本初上映、ドクさんが舞台挨拶に登壇

2024/04/12 15:30 JST配信
(C) VIETJO/A-TIM’s
(C) VIETJO/A-TIM’s 写真の拡大.
  • 舞台挨拶にドクさんと川畑監督が登壇
  • 「現在の姿をありのままに見てほしい」
  • 「平和のありがたさを伝えたい」

ベトナム戦争時に米軍が散布した枯葉剤の影響で結合双生児として生まれた「ベトちゃんドクちゃん」の「ドクちゃん」ことグエン・ドクさん(43歳)の、今も後遺症と戦う宿命、そして平和のメッセンジャーという使命とともに逞しく生きる姿を捉えたドキュメンタリー映画「ドクちゃん-フジとサクラにつなぐ愛-」の特別試写会が11日、東京・日本赤十字看護大学広尾ホールで行われた。

© VIETJO/A-TIM’s

 ドクさんは2024年2月25日で43歳を迎え、現在は夫として、父として、結婚18年目を迎える妻のトゥエンさんと、双子の子供であるフー・シー(フジ)くんとアイン・ダオ(サクラ)さんとともに、闘病中の義母を自宅介護しつつ、自身も入退院を繰り返しながら一家の唯一の稼ぎ手として暮らしている。

 これに先立つ8日、同映画はホーチミン市で開催された「ホーチミン市国際映画祭(HIFF)」で初めて上映され、ベトナム国内でも大きな反響を巻き起こした。

 11日の特別試写会が日本初上映となり、当日は訪日したドクさん、そして同映画の監督を務めた川畑耕平氏が登壇し、プロデューサーのリントン貴絵ルース氏の進行のもと、舞台挨拶が行われた。

© VIETJO/A-TIM’s

 会場となった広尾ホールは、兄のベトさんとドクさんが1986年に約4か月間の入院生活を送った日本赤十字社医療センターにある。当時、急性脳症によりベトさんの容体が悪化し、2人は身体がつながったまま、ベトナムから救急搬送されたのだった。さらに、日赤は1988年にベトナムで行われた2人の分離手術も支援したことから、ドクさんにとっても縁の深い会場での記念すべき日本初上映が実現した。

 ドクさんは今回が53回目の訪日で、日本を「第2のふるさと」と呼んでいるが、日赤を訪れたのは1986年の入院以来、これが2回目だという。

 ドクさんは舞台挨拶の冒頭、「皆さん、ありがとうございます」と流ちょうな日本語で挨拶した。映画では、今までの経験、そして今現在の姿をありのままに見せているドクさん。この映画を通じて伝えたいことについて問われたドクさんは、「2つあります。1つ目は現在の私、グエン・ドクの真実の姿を、ありのままに見ていただきたいです。2つ目は平和のありがたさ、戦争を再び起こすまいという気持ちを伝えたいです」と答えた。

 さらに、「私のことは日本でもたくさん報道されたり、本などで伝えられてきましたが、『ちょっとどうなんだろう』と思うような部分もあったので、今回の映画を通じて、私、ドクという人間について、正しく見ていただきたいなと思います」と付け加えた。

© VIETJO/A-TIM’s

 いよいよ日本での初お披露目となった今の気持ちについて川畑監督は、「日本とベトナムの文化の違いや言葉の問題などもありましたが、色々な方々の支えがあってここまでくることができました」と感謝を述べた。

 現在、ドクさん自身もホーチミン市ツーズー病院に職員として勤務し、実際に医療の現場を体験している。ドクさんにとっての看護や医療について問われると、「患者というのはそれぞれが困難を抱えて病院に来るので、その方たちをいかに大切に扱えるか、そして少しでも希望を持ってもらい、明るい気持ちになってもらえるかが、医療の現場の人間にとって大切だと思います」と話した。

 一方、現在も深刻な健康問題と闘っているドクさん。そんなドクさんが健康と向き合う姿勢について川畑監督は、「2022年12月に最初にインタビューしたときに、(ドクさんが)『僕はどのぐらい生きられるかわからない』と言っていたんです。食べるものにも気を遣い、運動もしていて、すごく健康に気を遣っているんですが、取材を通じて思ったのは、『生きたい』ということ以上に、双子の子供たちととにかく長く一緒にいたい、という気持ちが根底にあるのかなと感じました」と語った。

 舞台挨拶の最後には、会場に集まった日本赤十字看護大学の学生に向けて、ドクさんと川畑監督から応援のメッセージが贈られた。

© VIETJO/A-TIM’s

 映画「ドクちゃん-フジとサクラにつなぐ愛-」は、2023年の日越外交関係樹立50周年と、分離手術から35周年を記念するドキュメンタリー作品となっており、ドクさんの等身大の姿をありのままに映している。日本では5月3日(金)に新宿ピカデリーほかでの公開が決定している。

<公開劇場情報>

◇2024年5月3日(金・祝)公開
東京(新宿):新宿ピカデリー
愛知(名古屋):ミッドランドスクエアシネマ
大阪(大阪):なんばパークスシネマ
栃木(宇都宮):宇都宮ヒカリ座

◇2024年5月18日(土)公開
兵庫(神戸):元町映画館

◇順次公開
京都(京都):京都シネマ
福岡(福岡):KBCシネマ
長野(長野):長野千石劇場
静岡(浜松):CINEMA e_RA
沖縄(那覇):桜坂劇場
ほか

 映画の詳細は、公式ウェブサイトエックス(X)インスタグラム(Instagram)を参照。



(※本記事はVIETJOベトナムニュースとベトナムエンタメ情報サイト「A-TIM’s(エータイムズ)」の合同取材によるものです。)

【関連記事】

映画「ドクちゃん−フジとサクラにつなぐ愛−」、ベトナムで公開 (2025/02/22)
映画「ドクちゃん−フジとサクラにつなぐ愛−」、サントラ配信開始 (2024/06/25)
第1回ホーチミン市国際映画祭が閉幕、ベトナム映画1作品受賞 (2024/04/18)
ドキュメンタリー映画「ドクちゃん−フジとサクラにつなぐ愛−」、5月3日公開 (2024/03/13)
「ドクちゃん」の人生をドキュメンタリー映画に、24年公開 (2023/10/16)
「ベトちゃんドクちゃん」のドクさん、日越交流と平和教育に意欲 コロナ禍とウクライナの戦火に思いも (2022/04/10)
「ベトちゃんドクちゃん」分離手術から30年 (2018/10/07)
「ベトちゃんドクちゃん」分離手術の知られざる裏側【後編】 (2016/02/21)

[2024年4月11日 ベトジョーニュース/A-TIM’s A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
台風15号(コト)発生、ベトナム中部方面に接近 (17:10)

 日本の気象庁が発表したデータによると、ベトナム現地時間25日19時にフィリピンのスル海で台風15号(アジア名:コト、日本では台風27号)が発生した。  コトは、26日13時の時点で南シナ海に位置しており、1時...

ハノイ工業大学を格上げ、「構成大学と学部を傘下に置く大学」に (14:42)

 レ・タイン・ロン副首相はこのほど、ハノイ工業大学(HaUI、ハノイ市)を「構成大学と学部を傘下に置く大学」に格上げする首相決定第2536号/QD-TTgに署名した。  今回の格上げにより、ハノイ工業大学は学部を...

ホーチミン:中華街チョロンのナイトストリート、12月1日開始 (14:35)

 ホーチミン市ビンタイ街区(旧6区の一部)人民委員会は、「チョロン・ナイトストリート」を12月1日から試験運用し、2026年1月1日から正式運用すると発表した。  チョロン・ナイトストリートは、ビンタイ市場...

ホーチミンの市場とともに生きる:バンコー市場 (23日)

 ホーチミン市のめまぐるしく変わりゆく街並みの中で、バンコー市場(cho Ban Co)は、記憶の断片のようにひっそりと存在している。商人たちは日々、市場で商売を続けている。まるで、1束の野菜が、1kgの玉ネギが...

ベトジェットエア、初のボーイング機受領 タイ路線に投入へ (13:17)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は23日、米ボーイング社(Boeing)との間で締結した総額320億USD(約5兆円)規模の200機の発注のうち、初号機となるボーイ

ホーチミン:犬猫の飼育ルールを厳格化、狂犬病ゼロへ対策 (13:07)

 ホーチミン市人民委員会は、2026~2030年の狂犬病対策プログラムを承認した。プログラムでは、2030年までに狂犬病によるヒトの死亡例をゼロにすることを目標とする。  同プログラムによると、犬猫の飼育者...

「ベトナム南部地域投資環境紹介ウェビナー」、12月12日開催 (12:22)

 日本貿易振興機構(ジェトロ)ホーチミン事務所は、12月12日(金)のベトナム時間14時00分から15時30分まで(日本時間16時00分から17時30分まで)、「省市合併後のホーチミン市を中心としたベトナム南部地域投資環境...

ベトナムのデジタル経済規模見通し、25年に東南アジア2位へ (6:32)

 米グーグル(Google)とシンガポールのテマセク(Temasek)、米コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)が共同で実施・公表した調査レポート「e-Conomy SEA 2025」によると、ベトナムの202...

ミュージカル「アニオー姫」、26年にKAAT神奈川芸術劇場で初演 (6:01)

 「アニオー姫」実行委員会(ブレイングループ、ヤマハミュージックベトナム、NPO国際交流促進協議会)は、「ミュージカル『アニオー姫』~Hen gap lai再び~」を、2026年9月にKAAT神奈川芸術劇場で初上演する。 ...

FPT情報通信、エジプト政府機関ITIDAとデジタル化推進で提携 (5:44)

 ベトナムIT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)は、エジプト政府機関の情報技術産業開発庁(ITIDA)との間で覚書(MOU)を締結した。双方は先端技術の活用や人材育成を通じ、エジ

普通教育でAI教育を試験導入、小学校で12月から (5:40)

 教育訓練省はこのほど、普通教育における人工知能(AI)教育の試験導入に関する指針案と計画を公表した。小学校でのAI教育は12月から実施する予定だ。  AI教育カリキュラムは、4つの能力に対応する4つの知識...

ブルボン、ザライ省でカカオ豆の原料産地開発へ 現地企業と覚書 (4:40)

 大手菓子メーカーの株式会社ブルボン(新潟県柏崎市)は12日、カカオ豆の安定調達と現地産業の発展を目的として、南中部地方ザライ省において現地企業との間で「ザライ省におけるカカオ原料生産地域の開発および...

ハノイ:文廟・國子監、科挙文化をAR技術で体験 (3:53)

 ハノイ市の文廟・國子監文化科学センターはこのほど、科挙文化がデジタル体験できるアプリ「ベトナム妙史(Viet Nam dieu su)」をリリースした。拡張現実(AR)と人工知能(AI)を活用した国内初の取り組みで、文化...

ホーチミン:メトロ1号線沿いの不動産価格、3倍に上昇 (25日)

 不動産仲介大手CBリチャードエリス(CBRE)ベトナムの調査結果によると、ホーチミン市都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~スオイティエン間)沿いの不動産価格は、1号線の開通で急騰し、大半の不動産プロジェクト...

ベトナムと南ア、協力関係を戦略的パートナーシップに格上げ (25日)

 ファム・ミン・チン首相は訪問先の南アフリカで21日、同国のシリル・ラマポーザ大統領と会見した。両首脳はこの席で、両国関係を戦略的パートナーシップへ格上げすることで一致した。  両国は、経済・貿易...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved