ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

東京国際映画祭、ベトナム映画初のコンペティション作品「輝かしき灰」の監督や俳優らが精力的に交流

2022/10/31 12:00 JST配信
(C) 大塚淳史
(C) 大塚淳史 写真の拡大.

ジュリエット・バオ・ゴック・ドーリン インタビュー
~作品内で存在感を見せた女優は今作品が出演2作目~

 作品内にメインで登場する3人の女性のうちの1人を演じるのが、ジュリエット・バオ・ゴック・ドーリン(Juliet Bao Ngoc Doling)。映画祭で日々イベントに参加し、映画を鑑賞するなど忙しい中、取材に応じてくれた。

 父親が英国人で母親がベトナム人のドーリンはハノイ市出身だが、その後ホーチミン市の高校を卒業した。全額奨学金を得てオーストラリアの大学で動物学と動物科学を学んでいるという。舞台あいさつでは「ベトナム語と英語の通訳を通すと時間がかかってしまうので」と流ちょうな英語であいさつしたり、質問に答えていた。

(C) 大塚淳史

 てっきり過去に多くの作品への出演経験があるのかと思いきや、実は今作品が2作目だ。「1作目は2016年に発表されたショートムービーで、『輝かしき灰』は私にとって最初のビッグフィルムでした」。

 上映後イベントで、チュエン監督が彼女を抜擢したきっかけが、その1作目だと明かしている。チュエン監督が「(水に浸かるシーンがあるので)彼女は泳ぐことができるかと聞いたら、学校で水泳をしていたから大丈夫だった」と笑っていた。

 ただ、キャスティングされてから実際の撮影までは時間がかかったという。

 「14、15歳の時に監督と会ったのですが、そこから実際に撮影が始まるまで4年ありました。その間、ずっと脚本を読んだり、撮影前に演じる役と同じような設定を経験しました。撮影時は18歳でした。映画祭初日の上映で、初めて完成作品を見て、とてもエモーショナルになりました」。

 今は大学生であり、動物の調査研究の仕事に関心がある。卒業後に俳優という職業を選択しないのかと問うと、「今はいろんな可能性を試しています。ただ、私は演じるのが好きですね。今はないですが、もしオファーがきたら『イエス』と答えるでしょう。両方ともやってもいいのかなとも思っています」と答えた。

 今回初めての訪日。「人々が親切で素晴らしいです。地下鉄に乗って、空港からホテルに行く時に迷ったのですが、『スミマセン』と日本人に助けを求めたら、丁寧に行き方を教えてくれて感動しました」。食事も日本食を楽しんでいる。「名前を忘れたのですが・・・丸くて、中にタコが入っていて・・・とても美味しかった」と写真を見せてもらったらタコ焼きだった。また、「白い魚を開いて焼いたのも食べたのですが、スイーツな味でこれもとても美味しかった」と写真を見たらウナギのかば焼きだった。

 さらに、食べ物ではないがトイレの温水洗浄便座の写真も見せてくれ、興味深かったそうだ。週末には市内観光をする予定で、「こっちで知り合った人達が、有名な交差点に連れていってくれるそうです」と楽しみにしていた。恐らく渋谷駅前の交差点のことだろう。

 東京国際映画祭に参加し終わったら、オーストラリアに戻るが、「輝かしき灰」は今後も別の国際映画祭に出る予定があるようで、その際にはまた帯同するかもしれないという。その際には「ホーチミン市に寄りたい」と話した。

 東京国際映画祭のコンペティション作品に選ばれたことで、彼女にも注目が集まっていくだろう。「まだ特に出演予定はない」というが、期待したい。

(C) 大塚淳史


――――――
筆者プロフィール

大塚淳史(おおつか あつし)

スポーツ報知で約4年働いた後、中国の上海に移住し5年間在住。現地のフリーペーパー、中国メディア日本語版、繊維業界紙上海支局で勤務。帰国後、日刊工業新聞を経てフリーライターに。週刊誌やネット媒体などで、経済、スポーツ、中華圏や東南アジアに関する記事を執筆する。コロナ前までは年2回、ベトナムを訪れていて、2022年8月に2年半ぶりにベトナム旅行を楽しんだ。

【関連記事】

ベトナム映画、アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート逃す (2025/12/18)
映画「Mua Do」、第98回アカデミー賞「国際長編映画賞」ベトナム代表に (2025/10/03)
戦争映画「Dao, Pho va Piano」、アカデミー賞「国際長編映画賞」ベトナム代表に (2024/10/15)
「第36回東京国際映画祭」、トラン・アン・ユン監督最新作上映 トークショーも (2023/10/10)
映画「輝かしき灰」、アカデミー賞「国際長編映画賞」ベトナム代表に (2023/09/29)
ダナン・アジアン映画祭を初開催、ベトナム映画多数出品 (2023/04/26)
12月2日公開のベトナム映画「輝かしき灰」、ナント三大陸映画祭でグランプリ受賞 (2022/12/03)
「第35回東京国際映画祭」、ベトナム映画1本上映 10月24日から開催 (2022/09/26)

前へ   1   2   次へ
[2022年10月28日 ベトジョーニュース A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
25年GRDP成長率、ホーチミン+8.3% ハノイ+8.5% (16:07)

 2025年におけるホーチミン市の域内総生産(GRDP)成長率は+8.3%と推定され、ベトナム経済の牽引役としての地位を引き続き示した。これは先般開かれた同市共産党委員会の会議で発表されたレポートの中で明らかに...

国際金融センターの設立発表、ホーチミンとダナンの2拠点 (15:55)

 ファム・ミン・チン首相は21日、国際金融センター(IFC)の設立を発表した。この設立は、世界の資本や技術、人材を呼び込み、経済成長と国際統合を加速させる制度改革の節目となる。  IFCはホーチミン市と南...

地場ドジ、ハイフォンで75階建ての北部最高層ビルを着工 (14:24)

 地場ドジ・ジュエリー(DOJI Group)は19日、北部紅河デルタ地方ハイフォン市で複合区「ドラゴン75コンプレックス(Dragon 75 Complex)」を着工した。同プロジェクトのハイライトとして、75階建ての高層ビルの建設...

ホーチミンの路上のライター修理店、愛好家の駆け込み寺 (21日)

 ある日の午後、60代と思われる男性が、壊れたデュポン(Dupont)製のライターを手に、ホーチミン市チョロン街区グエンチーフオン通りを訪れた。男性は、ファム・バン・コーさん(男性・72歳)の店である、古びて傾...

ホーチミン:ガソリンスタンドでの振込決済が拡大 (14:04)

 ホーチミン市内のガソリンスタンドでは、QRコードを使った振込決済が拡大しており、給油時の利便性向上や待ち時間の短縮につながっている。  市内の多くのガソリンスタンドで給油機にQRコードが掲示されて...

シンガポールの市場調査会社、ベトナムオフィス開設 (13:22)

 海外市場調査や海外事業伴走支援などを手掛けるシンガポールのグローバルアングル(GLOBAL ANGLE)は、ハノイ市に新たなオフィスを開設した。  新オフィスの開設は、クライアントやパートナーにきめ細やかな...

ベトナム、貿易規模で世界トップ15入り 輸出入額が過去最高に (6:35)

 商工省によると、2025年におけるベトナムの輸出入総額は推定で約9200億USD(約144兆円)となり、過去最高を更新した。これにより、ベトナムは貿易規模で世界トップ15に入り、東南アジア地域では第2位となった。こ...

ラオカイ~ハノイ~ハイフォン間鉄道が着工、越中連運を強化 (6:02)

 ベトナム建設省は19日、ラオカイ~ハノイ~ハイフォン間鉄道建設事業の第1サブプロジェクトの着工式を開催した。東西経済回廊の輸送需要に対応するとともに、ベトナムと中国を結ぶ国際連運の強化につながると期...

ホーチミン:メトロ1号線、26年1月1日に無料運行 (5:24)

 ホーチミン市都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~スオイティエン間)を運行する同市メトロ1号線有限会社(HURC1)はこのほど、新暦正月の2026年1月1日(木)にメトロ1号線を無料運行すると発表した。  当日は改...

ベトナムの軍事力は世界23位、東南アジア2位 (5:03)

 軍事ウェブサイトのグローバル・ファイアパワー(Global Firepower=GFP)が発表した2025年版の世界軍事力ランキング「2025 Military Strength Ranking」によると、ベトナムは145か国・地域中23位となった。 ...

チン首相、ペトロベトナム会長フン氏を商工相代行に任命 (4:32)

 ファム・ミン・チン首相は20日、ペトロベトナムグループ(Petrovietnam=PVN)のレ・マイン・フン会長を商工相代行に任命した。  商工相代行に任命されたフン氏は、1973年生まれの52歳で、出身は北部紅河デル...

イーレックス、ベトナム2省でバイオマス発電所の起工式開催 (4:14)

 再生可能エネルギー事業を手掛けるイーレックス株式会社(東京都中央区)は、同社が開発を進めている西北部地方ラオカイ省(旧イエンバイ省)のイエンバイバイオマス発電所および東北部地方トゥエンクアン省のトゥ...

日越の団体、ドローン・次世代移動体産業の発展で覚書締結 (3:39)

 一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は15日、ベトナムの新たなドローン産業団体であるベトナム低空経済パートナーシップ(Vietnam Low Altitude Economy Partnership=LAEP)との間で、ドローン(無人航空機...

電子機器のコーセル、ベトナム子会社を解散・清算へ (2:37)

 電子機器・電気機械器具の製造・販売を手掛けるコーセル株式会社(富山県富山市)は、海外子会社(非連結子会社)で電子部品の製造・販売を行うコーセル・ベトナム(COSEL VIETNAM、ホーチミン市)を解散・清算する。...

サンG、フーコック島で国内初の軽量軌道交通路線を着工 (22日)

 ベトナムで初となる軽量軌道交通(LRT)路線が19日、南部メコンデルタ地方アンザン省フーコック特区(島)で着工した。同事業は2027年にフーコック島で開催予定のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に対応する...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved