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ソンさんが自転車に乗るようになったきっかけは、子供のためだった。今から36年前のある夜、子供が激しい腹痛を訴えたが病院に連れて行ってくれる人が見つからないため、妻に道案内を頼み子供をおぶって遠くの病院まで走らなければならなかった。
この出来事があって、ソンさんはすぐに自転車購入を決断する。竹の籠を両脇に付けて倒れないように工夫することで、わずか1日の練習で乗れるようになった。妻のベーさんによると、ソンさんを一度目的地まで連れて行けば、その後道に迷うことはなく、事故を起こしたこともないという。ソンさんは聴力も人並みはずれて優れている。取引する中古ラジカセが日本製か中国製かを聞き分けるほか、エンジン音で誰のバイクかも分かってしまう。
ソンさんは今、ベーさんと末の息子と暮らしているが、7人目の女性ガイさんがすぐ隣りで暮らしている。旧正月(テト)などの機会に、過去の女性達や子供達が集まることがあるが、表立っての争いが起きたことはない。ただ、実際には嫉妬もあるようだ。
それでもソンさんは「近隣に住んでいる女性達や子供達の元には今も時々通っていますけど、どこに行っているかは誰も知らないでしょうね」と話し、悪びれた様子はない。
チードン町人民委員会の幹部によると、ソンさんは家族内での争いごともなく、働き者で、ベーさん以外とは正式に結婚していないため、法律で罰することはできないという。