ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

クジラを祀るベトナムの「鯨寺」

2022/01/23 10:52 JST配信
(C) vnexpress
(C) vnexpress 写真の拡大
(C) vnexpress
(C) vnexpress 写真の拡大

また、陰陽コインを投げて表が出ればオス、裏が出ればメスとして、性別によって戒名をつける。死んだクジラの頭部に十字の印があれば、そのクジラが高齢だったことを意味する。その場合は、「ドゥックカーオン(Duc Ca Ong=徳魚翁)」または「ドゥックカーバー(Duc Ca Ba=徳魚婆)」と戒名をつける。頭部に十字の印がなければ、オスの場合は「ドゥックカウ(Duc Cau)」、メスの場合は「ドゥックコー(Duc Co)」と名づける。

 埋葬の手続きが終わると、死骸を廟の敷地内の空き地に運び、埋葬する。墓穴は深さおよそ3~4mで、縦横の幅は個体に合わせて決める。墓穴に死骸を納めた後、儀式の出席者は一握りの土を拾い上げて墓穴に入れる。1回の儀式にかかる時間は約3時間、費用は約40万VND(2000円)で、費用には供物や花などの購入費も含まれる。費用は、死骸の第一発見者が出し、第一発見者がいない場合は廟の管理委員会が拠出する。

 敷地内にあるクジラ墓地は面積約300m2で、一角にはクジラの立体像が装飾された青色の大きな石碑が設けられている。周辺には100基余りのクジラの墓が並んでいる。死んだばかりのクジラは墓地の外に埋葬し、三日、十日、五十日、百か日、1周忌に法要を行い、線香や果物を供える。

 2周忌を終えると忌明けとして、そのクジラの死骸の第一発見者または廟の管理委員会が協力して墓を掘り起こし、遺骨を取り出して墓地の中の空き地に改葬する。改葬後の墓は幅40cm、長さ1mで、セメントで作られ、正面に墓碑と香炉が置かれる。

 フオンさんは、クジラは友人のような存在であり、漁師をいつもひそかに助けてくれていると話す。死んだクジラを目にするたび、フオンさんも他の人々も、皆大きな悲しみを抱く。クジラの死骸が発見されれば、地元住民や漁師は昼夜を問わず、たとえ漁の途中であってもすぐに駆け付け、埋葬を手伝い、クジラに敬意を表して何時間も交代で見守る。

 「2年前のある日の午前0時ごろ、カムニュオン村の沖合400mほどのところで体重40kgのクジラ1頭の死骸が見つかりました。私は知らせを受けるとすぐにバイクを走らせて儀式に向かったのですが、到着したときにはすでに何十人もの人たちがいて、作業を手伝っていました。雨が降って寒く凍える中、誰もが懸命に作業をしていました」とフオンさんは振り返る。廟で線香を手向ける人々はクジラに敬意を込めて「ガイ(ngai)」と呼び掛ける。

前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 00:00 17/01/2022, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
この記事に関連するおすすめの記事
新着ニュース一覧
クアンニン省:年末まで毎週末に打ち上げ花火を実施 (14:33)

 東北部地方クアンニン省人民委員会は、同省文化スポーツ観光局の提案を受け、2025年7月4日から2026年1月1日までの毎週末(金・土)に、打ち上げ花火を実施することを決定した。地元住民や観光客向けのイベントと...

FPT、AIエージェント教育プログラムを導入 インド企業と提携 (6:18)

 ベトナムを代表するIT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)は1日、インドの情報技術(IT)教育組織ジェットキング(Jetking)との間で、人工知能(AI)エージェント教育プログラムの

AI関連の地場スタートアップ「AI Hay」、1000万USD調達 (6:02)

 人工知能(AI)を活用した検索プラットフォームを開発する地場スタートアップのAIハイ(AI Hay)はこのほど、東南アジアを中心にテクノロジー分野のスタートアップ企業に投資するアルゴー・キャピタル(Argor Capita...

8人兄弟の学者一族「グエン・ラン家」、故クオン氏を偲ぶ【後編】 (6/29)

 ベトナムを代表する考古学者・人類学者で、音楽家としても知られるグエン・ラン・クオン(Nguyen Lan Cuong)氏が2025年5月6日、ハノイ市のベトナム国家大学ハノイ校(ハノイ国家大学)医科薬科大学附属病院で死去...

6月のベトジョー記事アクセス数ランキング (5:53)

 VIETJOベトナムニュースが6月に配信した記事のアクセス数ランキングをご紹介します。 1位:個人事業主への電子請求書義務化、店舗が敬遠で現金決済に逆戻り

6月のベトジョー記事10選:省・市再編の決議採択、国会閉幕など (5:30)

 6月は、第15期(2021年~2026年任期)国会第9回会議が閉幕しました。今国会では、34本の法律を可決し、14本の決議を採択しました。  国会では、全国63省・市の行政区を大幅に削減して34省・市とする行政区再...

クアンガイ省:ズンクアット経済区で新都市区開発、投資方針承認 (4:55)

 チャン・ホン・ハー副首相はこのほど、南中部地方クアンガイ省ズンクアット経済区内でのズンクアット東南新都市区北側・南側の2件の開発案件の投資方針を承認する決定に署名した。  ズンクアット東南新都市...

ベトナム航空、ダナン~大阪線を約5年ぶり運航再開 (4:39)

 ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)は3日、2020年以来約5年ぶりにダナン~大阪線(VN336/VN337)の運航を再開した。同路線は週4便の運航となる。  ベトナム航空は同

スペースシフト、地場ベガコスモスと衛星データビジネス推進で提携 (3:21)

 衛星データ解析システム開発や衛星データ解析業務などを手掛ける株式会社スペースシフト(東京都千代田区)は、地場テクノロジー企業のベガスター・テクノロジー(VegaStar Technology、ハノイ市)グループで地理空...

TCJグローバル、地場日本語教育機関と提携 法人向け人材紹介を.. (2:37)

 外国人留学生向け進学・就職日本語コースの運営などを手掛ける株式会社TCJグローバル(旧:東京中央日本語学院、東京都新宿区)は6月16日、ベトナム国内で日本語教育と留学・就労者紹介事業を行うニャットファッ...

ラム書記長とトランプ米大統領が電話会談、貿易協定の枠組み合意 (3日)

 トー・ラム書記長はベトナム時間2日夜、ドナルド・トランプ米大統領と電話会談を行い、両国関係と両国間の相互関税について話し合った。  両首脳は電話会談で、両国関係が良好かつ急速に発展していることに...

ベトナム初のグリーンB2B電子商取引所「EcoHub」誕生 (3日)

 アロビッド・テクノロジー(Arobid Technology)は1日、ベトナム初となるグリーンB2B(企業間取引)電子商取引(eコマース=EC)プラットフォーム「エコハブ(EcoHub)」を発表した。  エコハブは単なるオンライン...

PEPI指数を初発表、再編後の34省・市の経済的地位を数値化 (3日)

 ベトナムの経済データ関連スタートアップ企業のベトスタッツ(Vietstats)は1日、全国34省・市を対象とした初の包括的な経済評価指数「地方経済ポジション指数(PEPI)2025」を発表した。  PEPIは、これまでの...

ベトテル、ダナンでハイテク複合ビルを着工 27年完成 (3日)

 南中部地方ダナン市人民委員会と国防省傘下の携帯通信大手ベトナム軍隊工業通信グループ(ベトテル=Viettel)は1日、ハイテク複合施設「ベトテル・ダナン・ビルディング(Viettel Da Nang Building)」の着工式を...

モビフォン・ワンマウント・テクコム銀、デジタル決済会社を設立 (3日)

 携帯通信大手のモビフォン(Mobifone)、テクノロジー企業のワンマウントグループ(One Mount Group)、大手民間銀行のテクコムバンク[TCB](Techcombank)は、電子決済事業を手がける新

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved