ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

騙されて中国に渡った女性、28年ぶりに母親とオンラインで涙の再会

2023/11/12 10:21 JST配信
(C) thanhnien
(C) thanhnien 写真の拡大
(C) thanhnien
(C) thanhnien 写真の拡大

 クックさんが先に口を開き、落ち着いた声で「まぶたの下の小さなほくろはまだある?」と聞いた。かつて、クックさんは「このほくろがこの先のあなたの人生の悩みの種になりそうで心配だよ。これがあなたをずっと泣かせることになるかもしれないね」と娘によく話していた。

 一方、幼い頃母親によく言われたその言葉を思い出し、マイさんは泣き出した。マイさんは声を詰まらせながら、「お母さん、両手を挙げて見せて」とクックさんに尋ねた。クックさんは手を挙げ、同時に目の前にいるのが確かに自分の娘だと確信した。「私の左手の人差し指は一部が欠けていて、娘はそれを覚えていたんです」。クックさんは感動のあまり、大声で泣いた。

 クックさんは、元はホーチミン市の出身だ。若い頃、クックさんは看護師、最初の夫は運転手をしており、夫婦にはマイさんより2歳年下の息子もいた。そしてマイさんが9歳の時、夫が他界した。都市部での生活は苦しく、母と子2人は荷物をまとめてビエンホア市に移り住んだ。

 クックさんは自宅の近くの寺院で清掃の仕事を始めた。マイさんも母親について行って仕事を手伝い、草むしりをしたり、時にはカシューナッツの収穫に雇われたりすることもあった。そしてクックさんは、息子を寺院に入れ、僧侶たちに育ててもらうことにした。

 数年後、拠り所が欲しかったクックさんは、グエン・アイン・チョンさんと再婚し、1995年に第3子となる次女を出産した。チョンさんは出稼ぎ労働で忙しく、マイさんがクックさんの病院に付き添った。

 産後のクックさんの体調は優れず、また赤ん坊も病気で救急病院に転院しなければならなかった。マイさんは1人で赤ん坊を抱えて人々にミルクを求め、一滴も残さずに飲ませた。そして赤ん坊が眠ると病室にいる皆の服を洗濯し、いくらかのお金を受け取っては、医師に頼んで赤ん坊のミルクを買ってもらった。次女の名付け親もマイさんだ。

 母親の苦労を感じ取ったマイさんは、妹が5歳にもならないうちに働きに出ることにした。クックさんはマイさんに、ホーチミン市の父方の祖母を訪ねて、祖母や叔父叔母たちに仕事用の自転車を用意してもらうように伝えた。

 しかし、1人の叔母はマイさんに会うと、中国に行って仕事をしないかと誘惑した。当時、マイさんの末の叔母も中国で働いていたため、マイさんは叔母を信用して中国に行く決心をした。

 ところが、中国に着くとその叔母はマイさんを売春宿に売ろうとした。末の叔母が止めてくれたものの、その後、2人の叔母は、クックさんと同じ年頃の男性にマイさんを嫁として売ることに決めたのだった。

 一方、クックさんの再婚相手のチョンさんは、「私にだって子供を育てる責任があるのに、どうして私に何の断りもなく、マイを行かせたんだ」と妻を責めた。

 娘が家を出て間もない頃、クックさんは夜もよく眠れなかった。1か月が経ち、クックさんは、ホーチミン市の親族の自宅を訪ねたが、家は売り払われ、皆引っ越してしまっていた。それ以来、クックさんはマイさんを中国に連れて行ったマイさんの叔母とは一切会っていない。

前へ   1   2   3   次へ
[Thanh Nien 12:02 14/09/2023, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ノイバイ空港、第2旅客ターミナル拡張エリアが12月19日に運用開始 (6:56)

 ハノイ市ノイバイ国際空港の第2旅客ターミナル(T2)拡張エリアは18か月の工期を経て、12月19日に運用が開始される予定だ。T2では、3D手荷物スキャナー「920CT」や米国運輸保安局(TSA)基準を満たしたボディスキャ...

ホーチミン:都市鉄道人材の育成急ぐ、外国人専門家への依存軽減 (6:28)

 ホーチミン市人民委員会は、都市鉄道(メトロ)網の拡大に向け、2025〜2030年の人材育成計画を公表した。同市は2035年までに7路線、2045年までに10路線の運行を予定しており、運行と保守に必要な人材を計画...

ホーチミンに自由貿易区を設立、政府が提案 (5:54)

 政府はこのほど、ホーチミン市の開発にかかる特別制度の試行に関する国会決議第98号/2023/QH15の一部を改正・補足する決議案を国会に提出し、同市に自由貿易区(FTZ)を設立することを提案した。改正は、投資を呼...

車いすでピックルボールに打ち込む人々 (7日)

 グエン・バン・フアンさん(男性・40歳)は毎週、東北部地方クアンニン省からハノイ市まで100km以上の道のりを三輪バイクで走り、ピックルボールに打ち込んでいる。フアンさんにとって、ピックルボールは障がいへ...

サン・フーコック航空、26年3月に国際線運航開始 (5:28)

 観光不動産開発を手掛けるサングループ(Sun Group)傘下のサン・フーコック・エアウェイズ(Sun PhuQuoc Airways=SPA)は、ベトナム民間航空局(CAAV)から国際線対応の航空運送事業許可(Air Operator Certificate...

EV配車サインSM、ラオスで法人向け電気タクシーサービスを展開 (4:37)

 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)傘下のビンファスト(VinFast)製電気自動車(EV)・電動バイクのレンタカー・タクシー会社で、配車サービス「サインSM

行政区を点数方式で分類、社会経済政策策定の根拠に (3:38)

 行政区分類に関する政令第307号/2025/ND-CP(11月27日施行)では、行政区の分類基準を定めており、社会経済政策や地方行政の運営体制を整備するための基礎とした。  新政令が公布された背景には、今年7月の行...

テックフェスト2025、ハノイで12月12日から開催 (2:03)

 ハノイ市のホアンキエム湖歩行者天国で12月12日(金)から14日(日)まで、スタートアップとイノベーションに関する体験型イベント「テックフェスト・ベトナム2025(TechFest Vietnam 2025)」が開催される。  同...

聖母マリア教会がXmasライトアップ、LED装飾は昨年の2倍 (6日)

 ホーチミン市サイゴン街区(旧1区)中心部に位置するドゥックバー(聖母マリア)教会は、今年もクリスマスシーズンに合わせて装飾され、クリスマスの雰囲気を楽しむ大勢の家族連れや若者で賑わっている。  同教...

第21回ホイアン日本祭り2025、12月26日から開催 (6日)

 南中部地方ダナン市(旧クアンナム省)のホイアン文化遺産保存管理センターは4日、ホイアン旧市街で12月26日(金)から28日(日)にかけて、第21回ホイアン日本祭り2025が開催されると発表した。  同イベントはダ...

コンダオ国立公園、IUCNグリーンリストに認定 (6日)

 ホーチミン市コンダオ特区のコンダオ国立公園(Vuon Quoc gia Con Dao)はこのほど、国際自然保護連合(IUCN)が認定・授与する「グリーンリスト(Green List)」の認定証を受領した。  「グリーンリスト」は、コ...

ラムドン省:洪水で1750世帯が孤立、自治体が緊急対応を指示 (5日)

 南中部地方ラムドン省で豪雨に伴う洪水被害が発生している。旧ビントゥアン省のエリアを中心に大規模な洪水が発生し、約1750世帯が孤立する事態となり、同省人民委員会が4日に緊急対応を指示した。  省全体...

国会、緊急事態法を可決 宣言・解除の権限は国会常務委員会に (5日)

 国会は3日、緊急事態法を賛成多数で可決した。同法は6章36条から成り、2026年7月1日に施行される。  同法が規定する緊急事態とは、国民の生命や健康、国・機関・団体・個人の財産を著しく脅かす災害、また...

ハノイ:国会議事堂内で国会博物館が開館、国会関連の資料展示 (5日)

 ハノイ市バーディン街区ドックラップ通り1番地(1 Doc Lap, phuong Ba Dinh, TP. Ha Noi)の国会議事堂内で2日、ベトナム国会博物館の開館式が開催された。合わせて、国会開設80周年(1946~2026年)を記念する書籍...

FPTと韓国企業が合弁会社を設立、建設人材雇用のデジタル化で (5日)

 建設関連の外国人材と企業とのマッチングプラットフォーム「カダ(GADA)」を運営する韓国のワークスメイト(Worksmate)は2日、ベトナムIT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)グ

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved