(C) Dan Tri |
1990年にビンさんは岸に上がり家を建てた。子供たちを養うためならと、セメント工事や埋葬、遺体引き揚げ、どんな仕事でもした。しかし、報酬はタバコ1箱やお茶、お礼の言葉だけだったこともあった。
川から人を引き揚げるには技術を要するとビンさんは言う。川全域の特徴を把握する必要があるほか、溺れている人の場合はもがき暴れて強い力で掴まれるのに耐えられなければ、自らも命を落としてしまう危険がある。
常に体を張るこの仕事は生傷も絶えない。「川に入って釘や尖った物を踏んでしまうこともあります。危ないのは分かっているけど、お金もないし唐辛子と乾燥玉ねぎを潰して傷口に当てておくの。傷が化膿して服が膿みだらけになったこともあったしね。疥癬になった時なんて母は恐がってしばらく離れて暮らしたよ。職業病ってところかしらね」とビンさん。
高齢のビンさんだが、この仕事を辞めようと考えたことはない。夜中でも声が掛かれば現場へ向かうし、一息ついている昼下がりでも警察から頼まれれば遺体の引き揚げに向かう。
「一番感動したのは事故で溺れていた人を救出した時に、どうしても私を母親として養いたいと申し出てくれて、その人が時々お菓子や果物を届けてくれることかしら。私にはそれで充分」。大変な仕事でありながら収入はほんのわずかだが、その代わりに人々から沢山の思いやりを受けて暮らしているとビンさんは言う。
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