ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

「ベトちゃんドクちゃん」分離手術の知られざる裏側【前編】

2016/01/31 05:50 JST配信

 腎臓を2つに分けるべきか?―そうすれば2人とも手術直後に腎不全に陥る。ドクさんに腎臓を残し、ベトさんには人工透析をするのはどうか?―分離手術でベトさんの傷跡は60~80cmに及ぶ。それで人工透析は考えられない。最終的に、もし2人が1つの腎臓を共有していた場合、ドクさんを助けるためベトを犠牲にすることが最も合理的な方法だ、と皆の意見が一致した。そうしなければ、2人とも死亡してしまうだろう。

 共有している他の器官について、肛門、生殖器の半分ずつをそれぞれ2つに分けるべきか?多くの人はドクさんに全てを残し、ベトさんには人工肛門を設けるという案を支持した。しかしながら、各器官の半分はベトさんのものでもあり、ベトさんの神経によってコントロールされていることから、ベトさんから切り離すことで壊死しないのか、またドクさんだけでコントロールすることができるのかという疑問も上がった。

 多くの医師は、中心で切断しなければ、後に神経系統が拒否反応を起こし、その部位の血流が止まってしまうだろうと述べた。膀胱の手術では、誰もがドクさんにその大部分を残してあげたかったが、もしそれで膀胱が動かなかった場合、神経因性膀胱や憩室症になる危険性があった。

 肛門と大腸の奇形に関する数百の症例を参考に、アー医師は「2人の膀胱、生殖器、肛門は中心線でつながっているのではない」という結論を出した。そのため、共有している器官の全部をドクさんに残しても、ドクさんの神経でコントロールできるだろうと予測した。

 最終的に、日本で撮影されたMRIとレントゲンの結果が見つかり、その画像から2人がそれぞれ自分の腎臓を持っていることが判明し、骨盤を分割する計画になった。本来、この腎臓の問題についてこれほど多くの時間を割く必要はなかったのだ。

 手術計画の準備と並行して、2人を模したマネキン人形が作られ、医師たちが手術のシミュレーションをするのに役立てられた。人形を担いで手術室に入る過程で初めて、扉から双子を中に入れることができないと気づいた。市の指導者は、1か月以内に迫った手術を計画通り行うため、早急に対処するよう要請しなければならなかった。

後編に続く

【関連記事】

「ベトちゃんドクちゃん」分離手術に携わった医師、88歳で死去 (2025/06/03)
映画「ドクちゃん−フジとサクラにつなぐ愛−」、ベトナムで公開 (2025/02/22)
映画「ドクちゃん−フジとサクラにつなぐ愛−」、サントラ配信開始 (2024/06/25)
映画「ドクちゃん−フジとサクラにつなぐ愛−」日本初上映、ドクさんが舞台挨拶に登壇 (2024/04/12)
ドキュメンタリー映画「ドクちゃん−フジとサクラにつなぐ愛−」、5月3日公開 (2024/03/13)
「ドクちゃん」の人生をドキュメンタリー映画に、24年公開 (2023/10/16)
「ベトちゃんドクちゃん」分離手術チームのバン・タン教授、92歳で死去 (2023/09/06)
「ベトちゃんドクちゃん」のドクさん、日越交流と平和教育に意欲 コロナ禍とウクライナの戦火に思いも (2022/04/10)

前へ   1   2   3   次へ
[Le Phuong, VNExpress, 21/1/2016 | 12:03 GMT+7, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ホーチミン:ベンタイン~カンゾー間のメトロ、年内着工を提案 (15:23)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)のファム・ニャット・ブオン会長が設立したインフラ投資会社であるビンスピード(VinSpeed)は、ホーチミン市の市街地

ホーチミン:メトロ2号線、26年1月15日に着工 (14:51)

 ホーチミン市人民委員会は、同市都市鉄道(メトロ)2号線(ベンタイン~タムルオン間)を2026年1月15日に着工することを決定した。  市当局によると、今年12月末までに、調整事業化調査(FS)報告書や環境影響評...

チャイルドシートの使用義務付け、26年1月1日から (14:45)

 道路交通秩序安全法の規定によると、2026年1月1日から、10歳未満で身長1.35m未満の子どもは自動車に乗る際、チャイルドシートの使用が義務付けられる。  違反した場合は、最高100万VND(約5850円)の罰金が科...

ホーチミンの市場とともに生きる:ニティエンドゥオン市場 (9日)

 ホーチミン市の伝統的な市場は、少しずつ過去のものになりつつある。市場では、年を取った商人たちが屋台のそばに座り、にぎやかで慌ただしい現代の中で、記憶の炎を静かに守り続けている。  タンディン市...

ビン国際空港、5か月の改修経て12月19日から運用再開 (13:29)

 北中部地方ゲアン省のビン国際空港が約5か月の改修工事を経て、12月19日から運用を再開する。年末の運用再開により、同省の航空需要および観光業の回復の追い風となる見通しだ。  同空港によると、滑走路、...

気候テックの地場アルテルノ、日本法人を設立 日本展開を本格化へ (13:17)

 クライメートテック(気候テック)分野の地場スタートアップ企業のアルテルノ(Alterno)は10月31日、茨城県つくば市に製品の現地化・研究開発・パイロット生産を担う地域拠点となる日本法人「Alterno Japan合同会...

地域別の最低賃金、26年1月1日から最大+7.3%引き上げ (6:56)

 政府はこのほど、一般労働者向けの地域別最低賃金の引き上げに関する政令を公布した。同政令は2026年1月1日から適用される。  地域別の月額最低賃金は以下の通り(※は増加率)。 ◇第1種:531万VND(約3万10...

ゲアン省党委書記がハノイ市人民委主席に転任 (6:33)

 北中部地方ゲアン省共産党委員会書記のグエン・ドゥック・チュン氏が、政治局の決定により、ハノイ市共産党委員会副書記(2025~2030年任期)に転任した。決定は10日に発表された。  チュン氏はこれから開か...

ベトナム米「ST25」、3回目の「世界で最も美味しい米」に選出 (5:48)

 カンボジア・プノンペンで9日に開催された「第17回国際コメ会議」で、ベトナム米「ST25」が、カンボジア米「プカ・ロムドゥール(Phka Romdoul)」と共に、2025年の「世界で最も美味しい米」として最優秀賞を獲得...

ホーチミン:カンゾー村に第2ツーズー病院が開業 (5:11)

 ホーチミン市人民委員会は10日、カンゾー村(旧カンゾー郡の一部)に「第2ツーズー病院(Benh vien Tu Du co so 2)」を開業した。  同病院は、南部トップクラスの産婦人科病院であるツーズー病院(ベンタイン街...

日清製粉ウェルナ、ベトナムで新製品発売 「早ゆでスパゲティ」も (4:12)

 日清製粉グループの株式会社日清製粉ウェルナ(東京都千代田区)は、子会社であるベトナム日清製粉(Vietnam Nisshin Seifun、東南部地方ドンナイ省)とベトナム日清テクノミック(Vietnam Nisshin Technomic、ドン...

クールジャパン機構、アパレルのクールメイトに1000万USD出資 (4:01)

 株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構、東京都港区)は、衣料に特化した電子商取引(eコマース=EC)を展開し、生産から販売まで自社で手掛ける地場クールメイト(Coolmate)に対し、1000万USD(約15億40...

中央グループのベトナム子会社、バンメトートオフィスを開設 (3:07)

 金融ソリューション事業や不動産ソリューション事業を手掛ける株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン(EAJ、東京都千代田区)の孫会社であるプレシジョン・アドバンス・ドラフターズ(Precision Advance Dra...

ハノイ:「カフェショー&ティーショー」、11月12日から初開催 (2:17)

 ハノイ市の国家展示センター(VEC)で、11月12日(水)から15日(土)まで、コーヒーとお茶の展示会「カフェショー・ハノイ2025(Cafe Show Hanoi 2025)」と「ティーショー・ハノイ2025(Tea Show Hanoi 2025)」が初め...

ハノイ:国際建築展示会「ベトビルド」、11月12日から開催 (2:00)

 ハノイ市ドンアイン村の国家展示センター(VEC)で、11月12日(水)から15日(土)まで、国際建築展示会「ベトビルド・ハノイ2025(第4回)(VIETBUILD Ha Noi 2025(PHASE 4))」が開催される。  同展示会には国内外...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved